おでんのタコ、ご家庭で調理すると硬くなってしまったり、おでん汁が赤く染まってしまったりと、下ごしらえに悩んだ経験はありませんか。
実は、いくつかのポイントを押さえるだけで、お店で食べるような柔らかく美味しいタコおでんを作ることができます。
この記事では、タコを柔らかくするための適切な煮込み時間や、時短に役立つ圧力鍋の活用法、下茹でによる色移りの対策まで、おでんのタコに関する下ごしらえの全てを網羅的に紹介します。
さらに、具材を入れるタイミングのコツや、関東と関西といった地域による文化の違い、おすすめのレシピ、そして意外な組み合わせであるたこ焼きとの相性についてもご紹介します。
この記事を読めば、あなたのおでんが格段にレベルアップすること間違いなしです。
- タコを驚くほど柔らかくする具体的な下処理方法
- おでん汁への色移りを最小限に抑える下茹でのコツ
- 関東と関西で異なるおでんの具材や文化の違い
- 失敗しない絶品タコおでんを作るための簡単レシピ
おでんのたこを上手に下ごしらえして柔らかくする

- タコを劇的に柔らかくする下処理のコツ
- 適切な煮込み時間で食感が変わる
- 圧力鍋を使った時短テクニック
- 具材を入れるタイミングはいつがベスト?
- 下茹でで防ぐおでん汁への色移り
タコを劇的に柔らかくする下処理のコツ
おでんのタコを美味しく仕上げるための最初のステップは、適切な下処理です。
タコが硬くなる主な原因は、筋肉の繊維が加熱によって収縮することにあります。
この繊維を調理前にほぐしておくことで、驚くほど柔らかい食感を実現できます。
ご家庭で手軽に試せる方法はいくつかありますが、最も簡単なのは物理的に繊維を壊すことです。
棒やすりこぎで叩く
スーパーなどで手に入る生食用の「煮ダコ」や「蒸しダコ」を使用する場合、調理前にすりこぎ棒などで全体を優しく叩く方法が効果的です。
筋肉の繊維が壊れ、加熱しても硬くなりにくくなります。
ただし、強く叩きすぎると皮が剥がれたり、吸盤が取れたりして見た目が損なわれるため、力加減には注意が必要です。
身の弾力がなくなり、少しふにゃっとした感触に変わるまでが目安となります。
大根の酵素を利用する
昔から伝わる方法として、大根に含まれる消化酵素「ジアスターゼ」を利用するやり方があります。
この酵素がタコのタンパク質を分解し、身を柔らかくしてくれます。
具体的には、大根おろしにタコを30分ほど漬け込んだり、輪切りにした大根でタコの身を叩いたりする方法が知られています。
ただ、おでんの具材として使う大根を叩きに使うのは少しもったいないかもしれませんし、大根おろしを別途用意する手間もかかります。
ポイントまとめ
下処理は、柔らかさを追求する上で非常に重要です。
特に生食用のタコは一度加熱されているため、繊維が締まりやすい傾向にあります。
ひと手間加えるだけで、仕上がりが大きく変わります。
色々試した結果、個人的には「すりこぎで優しく叩く」のが一番手軽で効果を実感できました。
手間と効果のバランスが良いので、ぜひ試してみてくださいね。
適切な煮込み時間で食感が変わる

タコの食感は、煮込み時間によって大きく変化します。
「短時間でさっと煮る」か「長時間じっくり煮込む」か、どちらかを選ぶのが美味しく仕上げる秘訣です。
中途半端な煮込み時間が、最も身を硬くしてしまう原因になります。
プリプリ食感を楽しむなら「25分程度」
タコ本来の弾力やプリプリとした食感を残したい場合は、煮込み時間を25分程度に留めるのがおすすめです。
不快な硬さはなく、適度な歯ごたえを楽しめます。
タコの風味もしっかりと感じられるため、素材の味を活かしたい場合に適しています。
とろける柔らかさを求めるなら「45分~1時間」
お店で出てくるような、とろけるほど柔らかいタコを目指すなら、弱火で45分から1時間以上じっくり煮込む必要があります。
時間をかけることで筋肉の繊維が徐々にほぐれ、驚くほど柔らかい食感に変わります。
口の中でうま味がじゅわっと広がる、極上の仕上がりになります。
煮込みすぎの注意点
長時間煮込むほどタコは柔らかくなりますが、同時にタコのうま味成分がおでん汁に溶け出してしまいます。
うま味が抜けきってしまわないよう、煮込み時間は1時間程度を目安にするのが、柔らかさとうま味のバランスを取る上で最適です。
圧力鍋を使った時短テクニック

「長時間煮込む時間がない」という方には、圧力鍋の活用が非常に有効です。
高温・高圧で調理することで、普通の鍋なら1時間以上かかる煮込み時間を大幅に短縮できます。
一般的な家庭用圧力鍋であれば、15分から20分程度の加圧で、驚くほどトロトロの柔らかさに仕上げることが可能です。
まるで高級料亭で出てくるようなタコの柔らか煮が、ご家庭で手軽に再現できます。
まずは大根やタコなど、火の通りにくい具材を圧力鍋で下ごしらえし、その後、他の練り物などと合わせて普通のおでん鍋で温め直す、という手順が効率的です。
圧力鍋を使う際のコツ
圧力鍋は非常に便利ですが、加圧時間を間違えるとタコが溶けてしまうほど柔らかくなりすぎることもあります。
最初は少し短めの時間で設定し、蓋を開けてみて硬さを確認しながら調整するのが失敗しないコツです。
具材を入れるタイミングはいつがベスト?

おでんを美味しく作る上で、具材を入れる順番は非常に重要です。
それぞれの具材が持つ特性を理解し、適切なタイミングで鍋に加えることで、全体の味が調和し、各具材の美味しさを最大限に引き出すことができます。
タコを入れるタイミングは、どのような食感に仕上げたいかによって決まります。
柔らかく味を染み込ませたい場合
前述の通り、とろけるような柔らかさを求めるなら、最初から鍋に入れてじっくり煮込むのが正解です。
大根やこんにゃく、牛すじといった、味の染み込みにくい具材と一緒のタイミングで加え、弱火でコトコト煮込みましょう。
時間をかけて加熱することで、タコ自体のうま味がおでん汁に溶け出し、同時におでん汁の味がタコの芯までしっかりと染み込みます。
タコの食感を残したい場合
逆に、タコ本来のプリッとした食感を残したい場合は、調理の後半、他の具材に火が通ってから加えるのがおすすめです。
練り物などと同じタイミングで加え、15分から20分程度煮込むだけで十分です。
長時間煮込まないので、身が硬くなりにくく、タコならではの歯ごたえを楽しむことができます。
どちらのタイミングが良いかは、完全に好みの問題です。
ご家族の好みに合わせて、入れるタイミングを変えてみてください。
一度、両方のパターンで試してみて、お気に入りの食感を見つけるのも楽しいですよ。
下茹でで防ぐおでん汁への色移り

タコをおでんに入れる際の悩みの一つが、タコの赤い色素がおでん汁に移り、全体がピンク色に染まってしまう「色移り」です。
特に関西風の透き通ったおでん汁を目指す場合は、この対策が欠かせません。
最も効果的で簡単な対策は、タコを他の具材とは別の鍋で調理することです。
1. 別鍋で下茹でする
まず、おでん鍋に入れる前に、別の鍋でタコを1分ほど下茹でします。
これだけでも、表面の色素がある程度流れ出るため、色移りをかなり軽減できます。
下茹でした後のお湯は捨て、新しい水やおでん汁で本格的に煮込んでいきます。
2. 最後まで別鍋で調理する
色移りを完璧に防ぎたいのであれば、最後まで別鍋で調理する方法が最も確実です。
おでん鍋からお玉で出汁をすくい、タコ専用の小鍋に移して煮込みます。
こうすることで、タコにはしっかりとおでんの味が染み込み、かつおでん鍋本体の汁の色は綺麗なまま保つことができます。
食べる直前に、タコだけをおでん鍋に合流させれば、見た目も美しく仕上がります。
番茶やほうじ茶で煮る方法も
料亭などで使われるテクニックとして、番茶やほうじ茶でタコを下茹でする方法もあります。
お茶に含まれるタンニンが色素を定着させる効果があると言われており、水だけで下茹でするよりも色落ちを防げるとされています。タ
コの風合いも少し落ち着いた褐色になり、上品な仕上がりになります。
おでんのたこを上手に下ごしらえして楽しもう

- 関東と関西で違うおでんの具材
- 地域によって異なるタコの扱い方
- 絶品タコおでんのおすすめレシピ
- 変わり種!おでんにたこ焼きも合う?
関東と関西で違うおでんの具材
一口におでんと言っても、その具材や味付けは地域によって大きく異なります。
特に関東と関西では、食文化の違いが顕著に表れており、タコの扱いもその一つです。
関西のおでん(「関東煮(かんとだき)」とも呼ばれます)では、タコは牛すじと並ぶ代表的な具材です。
旨味の強いマダコがよく使われ、おでん全体の味に深みを与える重要な役割を担っています。
出汁は昆布をベースにした薄口醤油のあっさりとした味付けが主流で、具材それぞれの味を活かすのが特徴です。
一方、関東のおでんは、かつお節を効かせた濃口醤油ベースの甘辛い味が特徴です。
具材としては、ちくわぶ、はんぺん、すじ(魚のすり身)などが定番で、タコは関西ほど一般的な具材ではありません。
おでん種専門店や一部の老舗では見られますが、家庭で入れることは比較的少ないようです。
関東のおでん | 関西のおでん | |
---|---|---|
味付け | 濃口醤油ベースの甘辛い味 | 昆布出汁ベースの薄口醤油味 |
代表的な具材 | ちくわぶ、はんぺん、すじ(魚肉) | タコ、牛すじ、クジラ(昔) |
タコの立ち位置 | 専門店などで見られる具材 | 家庭でも定番の代表的な具材 |
地域によって異なるタコの扱い方

前述の通り、タコは主に関西地方で親しまれているおでん種です。
特にタコの産地として有名な兵庫県の明石周辺では、おでんにタコを入れるのはごく自然な食文化となっています。
京都にあるおでんの名店「蛸長」のように、店名に「蛸」を冠するお店も存在します。
こうした専門店では、タコを最高の状態で提供するための様々な工夫が凝らされています。
例えば、食べやすいように一口ごとに隠し包丁を入れたり、味はしっかり染み込ませつつもおでん汁の色は濁らせないよう、細心の注意を払って調理されています。
このように、タコをおでんの主役として扱う文化が根付いている地域では、ただ煮込むだけでなく、より美味しく、より食べやすくするための独自の技術が発展しているのです。
ご家庭で調理する際も、こうしたプロの技を参考に、例えば食べやすいように串に刺したり、切れ込みを入れたりする工夫をすると、より一層美味しくいただけます。
絶品タコおでんのおすすめレシピ

これまでのポイントを踏まえて、ご家庭で簡単に作れる絶品タコおでんのレシピをご紹介します。
色移りを防ぎつつ、タコを柔らかく仕上げる方法です。
材料
- 生食用ゆでダコ:足2本程度
- 大根、こんにゃく、ゆで卵などお好みの具材
- おでん出汁(市販のものでも可)
作り方
- 具材の下ごしらえ
大根は厚めの輪切りにして皮をむき、米のとぎ汁で透明になるまで下茹でします。
こんにゃくは格子状に切れ込みを入れ、塩もみしてからさっと茹でてアクを抜きます。 - タコの下ごしらえ
ゆでダコを食べやすい大きさに切ります。すりこぎ棒などで軽く叩いておくと、より柔らかく仕上がります。 - おでんを煮込む
大きめの鍋におでん出汁と大根、こんにゃく、ゆで卵などを入れ、弱火で煮込み始めます。 - タコを別鍋で煮る
小さな別の鍋にタコを入れ、おでん鍋から出汁をお玉で数杯移します。
弱火にかけ、蓋をして45分から1時間ほどじっくり煮込みます。 - 合わせる
食べる直前に、煮込んだタコをおでん鍋に加えます。
皮が剥がれないよう、網じゃくしなどを使って優しく移しましょう。
全体を温め直したら完成です。
タコの煮汁はうま味が凝縮されているので、捨てずに活用しましょう。
ご飯と炊き込んで「たこ飯」にしたり、翌日のお味噌汁の出汁に加えたりすると、絶品の味わいになります。
変わり種!おでんにたこ焼きも合う?
おでんの具材は定番のものだけでなく、意外な組み合わせが楽しめるのも魅力の一つです。
その中でも、特に関西の一部で親しまれているのが「たこ焼き」をおでんに入れるというアイデアです。
「タコの代わりにたこ焼き?」と驚かれるかもしれませんが、これが実によく合います。
おでんの出汁をたっぷりと吸ったたこ焼きの生地は、まるで明石焼きのようにトロトロの食感に変化します。
噛むと中からじゅわ~っと出汁が溢れ出し、定番の具材とはまた違った美味しさを楽しめます。
調理も非常に簡単で、市販の冷凍たこ焼きを、食べる直前のおでん鍋に加えて3~5分温めるだけです。
煮込みすぎに注意!
たこ焼きは長時間煮込むと生地が崩れてしまい、おでん汁が濁る原因になります。
必ず食べる直前に、温める程度に加えるのが美味しくいただくコツです。
他の具材の上に乗せるように置くと、煮崩れしにくくなります。
タコそのものを入れるのとはまた違った、新しいおでんの楽しみ方として、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
お子様にも喜ばれること間違いなしです。
おでんのたこを上手に下ごしらえを総括
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- おでんには手軽な生食用の「煮ダコ」や「蒸しダコ」がおすすめ
- タコを柔らかくするにはすりこぎ棒などで物理的に繊維を壊すのが効果的
- 煮込み時間は食感を左右する重要な要素
- プリプリ食感なら25分、とろける柔らかさなら45分から1時間が目安
- 中途半端な煮込み時間は身が硬くなる原因なので避ける
- 圧力鍋を使えば15分から20分の加圧で時短調理が可能
- タコは関西おでんの代表的な具材で関東では比較的珍しい
- おでん汁への色移りを防ぐには別鍋での調理が最も確実
- 最低でも1分程度の下茹でをすると色移りを軽減できる
- 番茶やほうじ茶で下茹ですると色止め効果が期待できる
- 柔らかさを追求するなら最初から、食感を残すなら後半に投入する
- タコの煮汁はうま味の宝庫なので捨てずに再利用する
- 変わり種の具材として「たこ焼き」も相性が良い
- たこ焼きは煮崩れやすいため食べる直前に温める程度に加える
- この記事のレシピを参考に最高の一品を作ってみる