お正月は何かと忙しいものですが、伝統的なお雑煮はきちんと作りたい、そう考える方は多いでしょう。
この記事では、お雑煮の下ごしらえを前日に済ませることで、当日の準備をぐっと楽にする方法を徹底解説します。
お雑煮はいつ作ればいいのか、雑煮の里芋の下ごしらえや、生臭さを消すための雑煮のぶり下ごしらえのコツ、さらには鶏肉や野菜といった定番具材の準備まで、具体的な手順を網羅。
だしの種類や関東と関西の出汁の違いといった知識から、めんつゆを使った簡単な時短レシピ、便利な冷凍保存術、気になるお雑煮の日持ちや、お雑煮を食べてはいけない日はあるのかという疑問にもお答えします。
この一手間で、新年のお祝いがもっと豊かになります。
- お雑煮を前日に下ごしらえする具体的な手順
- 関東と関西の味の違いやだしの種類
- めんつゆを使った簡単な時短レシピ
- 正しい保存方法とお雑煮の日持ち
お雑煮の下ごしらえは前日準備が効率的

- お雑煮はいつ作ればいい?計画的な準備
- 雑煮の里芋の下ごしらえと保存方法
- 雑煮のぶりの下ごしらえは臭み取りが重要
- 鶏肉・野菜など定番具材の下準備
- 便利な具材の冷凍ストック活用術
お雑煮はいつ作ればいい?計画的な準備
結論から言うと、お雑煮の具材は食べる前日に下ごしらえを済ませておくのが最もおすすめです。
一般的に、お雑煮は元旦から三が日の間に食べられることが多いお正月の伝統料理。
年始は親戚の挨拶回りやイベントごとで何かと忙しくなりがちです。
そこで、大晦日までに具材のカットや下ゆでといった下ごしらえを終えておくことで、元旦の朝はだしと合わせて温めるだけで、手軽に本格的なお雑煮を楽しむことができます。
計画的な準備のメリット
お雑煮の下ごしらえを前日にしておくことで、当日の調理時間を大幅に短縮できるだけでなく、心にゆとりが生まれ、落ち着いて新年を迎えることができます。
特に、複数種類の具材を入れるご家庭では、前日準備の効果は絶大です。
このように、計画的に準備を進めることが、美味しく、そして心穏やかなお正月を過ごすための重要な鍵となります。
雑煮の里芋の下ごしらえと保存方法

お雑煮の具材の中でも、独特のぬめりがある里芋は下ごしらえに少し手間がかかるため、前日に済ませておくと非常にスムーズです。
丁寧な下処理が、雑味のない上品な味わいにつながります。
里芋の皮むきとぬめり取り
まず、里芋の土をきれいに洗い流します。
皮をむく際は、里芋をよく乾かしてから行うと、ぬめりで滑りにくく安全です。
皮をむいたら食べやすい大きさにカットし、ボウルに入れて塩をひとつまみ振り、手で揉み込むようにしてぬめりを出します。
表面がぬるぬるとしてきたら、水で丁寧に洗い流してください。
手のかゆみについて
里芋のぬめり成分にはシュウ酸カルシウムが含まれており、これが皮膚に刺さることでかゆみを引き起こすことがあります。
肌が弱い方は、調理用の手袋を着用するか、手に酢水をつけてから作業すると、かゆみを予防できる場合があります。
下ゆでと保存
ぬめりを洗い流した里芋は、一度下ゆでします。
鍋に里芋とたっぷりの水を入れ、沸騰してから2〜3分茹でてザルにあげます。
このひと手間で、調理時にお雑煮の汁が濁るのを防ぎ、味も染み込みやすくなります。
下ゆでを終えた里芋は、清潔な保存容器に入れ、かぶるくらいの水に浸した状態で冷蔵庫で保存しましょう。
こうすることで、乾燥や変色を防ぐことができます。
雑煮のぶりの下ごしらえは臭み取りが重要

出世魚であるぶりをお雑煮に入れる地域では、魚特有の臭みを取る下ごしらえが味の決め手となります。
この作業も前日に行うことが可能ですので、丁寧に行いましょう。
まず、ぶりの切り身にまんべんなく塩を振り、15分ほど置きます。
すると、浸透圧で魚の臭みの原因となる水分が表面に出てきます。
出てきた水分をキッチンペーパーで優しく拭き取ってください。
次に、「霜降り」という作業を行います。
これは、沸騰したお湯をぶりの表面にさっと回しかけ、すぐに冷水に取るという一手間です。
表面が白くなったら、冷水の中で残っている鱗や血合いを指の腹で優しく洗い流します。
霜降りの効果
この作業を行うことで、ぶりの臭みが劇的に抜け、雑味のないクリアな味わいになります。
お雑煮の上品な出汁の風味を損なうことなく、ぶりの旨味だけを活かすことができるため、非常に重要な工程です。
下処理が終わったぶりは、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取り、ラップに包んで冷蔵庫で保存します。
鶏肉・野菜など定番具材の下準備

お雑煮の主役ともいえる鶏肉や、彩りを添える野菜といった他の定番具材も、前日に準備しておくことで当日の調理が格段に楽になります。
鶏肉の下準備
鶏もも肉は、余分な脂肪や筋を取り除き、一口大にカットします。
切った鶏肉をさっと湯通し(下ゆで)しておくと、余分なアクや脂が抜けて、すっきりとした味わいのお雑煮に仕上がります。
湯通しした後は、水気を切って冷まし、清潔な保存容器に入れて冷蔵庫で保管してください。
野菜の下準備
にんじんや大根は、皮をむいて5mm程度の厚さに切ります。
輪切りやいちょう切りが一般的ですが、お正月らしく梅の花の形などで飾り切りを施すと、食卓が一気に華やかになります。
小松菜やほうれん草などの青菜は、根元を切り落としてよく洗い、塩を加えた熱湯で硬めに下ゆでします。
すぐに冷水に取って色止めをし、水気をしっかりと絞ってから4〜5cmの長さに切り揃えておきましょう。
これらの下ごしらえした具材は、種類ごとに別の密閉容器に入れて冷蔵庫で保存するのがポイントです。
味が混ざらず、それぞれの風味を活かすことができますよ。
便利な具材の冷凍ストック活用術

年末になると、お正月用の食材は価格が高くなる傾向があります。
そこで、比較的価格が安定している時期に食材を購入し、下ごしらえをしてから冷凍保存しておくのも賢い方法です。
にんじんや大根はカットした状態で、三つ葉やほうれん草は下ゆでして水気を絞った状態で、それぞれ小分けにして冷凍用保存袋に入れておけば、1ヶ月程度は保存可能です。
鶏肉も一口大にカットして冷凍しておくと、使いたい分だけ取り出せて非常に便利です。
冷凍に不向きな食材に注意
一方で、冷凍保存には向かない食材もあります。
代表的なものは以下の通りです。
- こんにゃく:水分が抜けてゴムのような食感になります。
- 豆腐:高野豆腐のようにスポンジ状になります。
- 里芋・大根:加熱後の食感が悪くなることがあります。(ただし、調理法によっては可能な場合もあります)
このように、食材によって向き不向きがある点には注意し、冷凍する具材を賢く選びましょう。
お雑煮を前日に下ごしらえする際の知識

- 関東と関西の出汁の違いとだしの種類
- 基本的なお雑煮のレシピを紹介
- めんつゆで簡単!時短お雑煮の作り方
- お雑煮の日持ちはどのくらい?
- お雑煮を食べてはいけない日はある?
関東と関西の出汁の違いとだしの種類

お雑煮の味付けは、地域によって驚くほど多様ですが、特に有名なのが関東と関西の違いです。
その境界線は、岐阜県の関ケ原あたりにあるとも言われています。
関東風は、かつお節や昆布で取っただしに醤油を加えた、すっきりとした味わいの「すまし汁」が主流。
餅は焼いた角餅を入れるのが一般的です。
武家文化の影響から、「敵をのす(倒す)」という意味を込めてのし餅を切った角餅が使われるようになった、という説があります。
一方、関西風は昆布だしをベースに白味噌を溶いた、まろやかでコクのある味わいが特徴。
餅は「円満」を願う丸餅を、焼かずに煮て加えます。
項目 | 関東風 | 関西風 |
---|---|---|
味付け | すまし汁(醤油ベース) | 白味噌仕立て |
餅の形・調理法 | 角餅・焼く | 丸餅・煮る |
主なだし | かつお節、昆布 | 昆布 |
代表的な具材 | 鶏肉、小松菜、かまぼこ、なると | 里芋、金時にんじん、大根 |
この他にも、九州地方では「あご(トビウオ)」で出汁を取ったり、鳥取県では小豆の入ったぜんざいのようなお雑煮があったりと、その土地ならではの食文化が色濃く反映されています。
基本的なお雑煮のレシピを紹介

ここでは、最も広く親しまれている関東風のすまし汁雑煮の基本的なレシピをご紹介します。
前日に下ごしらえした具材を使えば、あっという間に完成します。
材料(2人分)
- 切り餅:2個
- 鶏もも肉:80g(下処理済み)
- 大根・にんじん:各20g(下処理済み)
- 里芋:2個(下処理済み)
- 小松菜:少々(下処理済み)
- かまぼこ:2切れ
- だし汁:400ml
- 薄口醤油:小さじ2
- 塩:少々
- ゆずの皮:お好みで
作り方
- 鍋にだし汁を入れ、鶏肉、大根、にんじん、里芋を加えて中火にかけます。
- 具材に火が通ったら、薄口醤油と塩で味を調えます。
- お餅はオーブントースターで焼き色がつくまで焼きます。
- お椀に焼いたお餅を入れ、2の汁と具材を注ぎます。
- 最後に、温めておいた小松菜とかまぼこを飾り、お好みでゆずの皮を添えれば完成です。
だし汁は、かつお節と昆布から丁寧に取るのがおすすめですが、市販のだしパックを使っても手軽に美味しく作れますよ。
めんつゆで簡単!時短お雑煮の作り方

「だしを取る時間がない」「もっと手軽にお雑煮を楽しみたい」という方には、めんつゆを活用したレシピが絶対におすすめです。
めんつゆには、だしや醤油、みりんといったお雑煮に必要な調味料がバランス良く含まれているため、味付けに失敗することがありません。
作り方は非常に簡単で、鍋に水とめんつゆを製品の表示に従って合わせ、下ごしらえした具材を加えて煮るだけです。
めんつゆ雑煮をワンランクアップさせるコツ
市販のめんつゆは、うま味はしっかりしていますが、だしの香りが少し弱い傾向があります。
そこで、仕上げにかつお節をひとつまみ加える「追い鰹」をするのがおすすめです。
火を止める直前に加えるだけで、だしの香りが格段に引き立ち、本格的な味わいに近づきます。
この方法なら、料理が苦手な方でも、自信をもってお正月の食卓にお雑煮を並べることができます。
お雑煮の日持ちはどのくらい?
お正月に食べるためにたくさん作ったお雑煮。
その日持ちがどのくらいなのかは、気になるところです。
保存状態にもよりますが、冷蔵庫で保存した場合、日持ちの目安は2〜3日です。
冬場であっても、暖房が効いた室内での常温保存は菌が繁殖しやすいため、絶対に避けてください。
調理後は、鍋の粗熱が取れたら速やかに冷蔵庫に入れましょう。
翌日以降に食べる際は、必ず鍋ごと火にかけ、中心部までしっかりと再加熱することが重要です。
これにより、万が一発生した菌を殺菌することができます。
食べてはいけないお雑煮のサイン
以下のような状態が見られたら、腐敗している可能性が高いです。
もったいないと感じても、絶対に食べずに処分してください。
- ツンとした酸っぱい臭いや味がする
- 汁に粘り気が出て、糸を引いている
- 表面にカビや異様な泡立ちが見られる
また、冷凍保存も可能で、その場合は約2週間から1ヶ月程度持ちますが、前述の通り、具材によっては食感が損なわれる可能性があるため注意が必要です。
お雑煮を食べてはいけない日はある?

お雑煮は、その年の豊作や家内安全を祈願して、年神様へのお供え物であるお餅を頂く、非常に縁起の良いハレの日の料理です。
結論として、「この日に食べてはいけない」という決まりやタブーは特にありません。
一般的にはお正月の三が日に食べられることが多いですが、これはあくまで慣習です。
それ以降に食べても何ら問題はありません。
むしろ、三が日は来客などで忙しく、ゆっくり食べられなかった家庭が、松の内(1月7日まで、または15日まで)に改めて楽しむというケースもあります。
お雑煮の由来
お雑煮の起源は平安時代にさかのぼると言われています。
神様へのお供え物のお下がりであるお餅と、その土地の産物を一緒に煮て食べた「煮雑ぜ(にまぜ)」が語源とされています。
年神様と同じものを食べることで、その力を分けてもらい、一年の無病息災を願う意味が込められているのです。
古くからの習わしや意味を大切にしつつも、それぞれの家庭のライフスタイルに合わせて、お雑煮を楽しむのが一番良いでしょう。
お雑煮は前日の下ごしらえで味が決まるを総括
- お雑煮の準備は食べる前日に行うのが最も効率的
- 前日準備で元旦の朝は温めるだけで済む
- 里芋は塩揉みと下ゆででぬめりを取り、汁の濁りを防ぐ
- ぶりなどの魚介類は「霜降り」で臭みを取るのが重要
- 鶏肉は湯通しするとアクや余分な脂が抜ける
- にんじんや大根は飾り切りをするとお正月らしく華やかになる
- 青菜は硬めに下ゆでし、色止めをしておく
- 食材は早めに購入し、下処理後に冷凍保存すると節約になる
- こんにゃくや豆腐は冷凍に不向きなので注意が必要
- 関東はすまし汁と角餅、関西は白味噌と丸餅が主流
- めんつゆを使えばだし取り不要で簡単にお雑煮が作れる
- めんつゆ雑煮は「追い鰹」で香りを足すのがおすすめ
- お雑煮の日持ちは冷蔵で2〜3日が目安
- 食べる際は毎日しっかりと再加熱することが大切
- 酸っぱい臭いや糸引きは腐敗のサインなので食べない