忙しい調理の当日、少しでも手間を減らしたいと考えたことはありませんか。
実は、じゃがいもを使った料理を作る場合、下ごしらえを前日に行うことで、当日の作業がぐっと楽になります。
この記事では、じゃがいもの下ごしらえを行う際の具体的な手順や、肉じゃが、シチュー、そしてチーズフォンデュといった料理ごとのポイントを詳しく解説します。
変色防ぐにはどうすれば良いか、水につける時間はどれくらいか、アク抜きは何分が適切か、といった基本的な疑問から、なぜ下茹でするのかという理由まで掘り下げます。
さらに、レンジを使った簡単な下処理方法、前日茹でる場合のコツ、そして下ごしらえ後の正しい保存や便利な冷凍テクニック、栄養を逃さないじゃがいもの選び方まで、あなたの知りたい情報を紹介いたします。
- 前日に行うじゃがいもの正しい下ごしらえ手順
- 変色を防ぎ鮮度を保つための具体的な方法
- 料理ごとにおすすめの下処理と時短テクニック
- 下ごしらえ後の適切な保存と活用術
効率アップ!じゃがいもの下ごしらえを前日に行うときの基本

- 栄養を逃さないじゃがいもの選び方
- なぜ下茹でするの?そのメリットとは
- 前日茹でる場合の時間とコツ
- じゃがいものアク抜きは何分が適切か
- 変色防ぐには水につけるのが正解
- レンジで簡単!時短できる下処理方法
栄養を逃さないじゃがいもの選び方
じゃがいもの下ごしらえを始める前に、まずは新鮮で栄養価の高いじゃがいもを選ぶことが大切です。
美味しい料理の第一歩は、良質な素材選びから始まります。
じゃがいもを選ぶ際のポイントは、表面の質感と色に注目することです。
まず、皮にハリがあり、しっかりとした硬さを感じるものを選びましょう。
指で軽く押したときに柔らかく感じるものは、水分が失われていたり、傷み始めている可能性があります。
また、傷やしわがないかも確認してください。
傷んだ部分から菌が侵入し、腐敗の原因となることがあります。
芽や緑色の部分に注意
じゃがいもの芽や、光に当たって緑色に変色した皮には、「ソラニン」や「チャコニン」といった天然毒素が含まれていることがあります。
これらは食中毒の原因となるため、芽が出ているものや緑色の部分が広範囲にわたるものは避けるのが賢明です。
もし少量であれば、調理時にその部分を厚く、完全に取り除くようにしてください。
品種ごとの特徴を知っておくのもおすすめです。
例えば、煮込み料理には煮崩れしにくい「メークイン」、ポテトサラダやコロッケにはホクホクとした食感の「男爵」が向いています。
料理に合わせて最適な品種を選ぶことで、仕上がりが格段に良くなります。
なぜ下茹でするの?そのメリットとは

カレーや肉じゃが、あるいはバーベキューのホイル焼きなど、様々な料理で「じゃがいもを下茹でする」という工程があります。
この一手間には、料理の仕上がりを大きく左右する、いくつかの重要なメリットが存在します。
最大の理由は、火の通りを均一にし、調理時間を短縮できる点です。
大きな塊のまま使う料理や、火加減の調整が難しい屋外での調理では、あらかじめ中心部まで熱を通しておくことで生焼けのリスクを大幅に減らせます。
下茹での主なメリット
- 生焼け防止と均一な加熱: じゃがいもの中心までしっかり火が通るため、他の具材との加熱ムラがなくなります。
- 調理時間の大幅な短縮: 煮込み料理や炒め物で、じゃがいもに火が通るのを待つ必要がなくなり、全体の調理時間を短縮できます。
- 煮崩れ防止: 表面が糊化しすぎる前に火からおろすことで、必要以上に煮崩れるのを防ぐ効果も期待できます(ただし、加熱時間には注意が必要です)。
- 味が染み込みやすくなる: 加熱後に一度冷ます工程を挟むと、味が染み込みやすくなり、より美味しく仕上がります。
このように、下茹では単なる下準備ではなく、料理をより美味しく、そして効率的に作るための重要なステップと言えるでしょう。
前日に茹でる場合の時間とコツ
じゃがいもを前日に茹でておく場合、少しのコツで美味しさを損なわずに準備できます。
ポイントは、風味と栄養を逃さない茹で方を心がけることです。
最もおすすめなのは、皮付きのまま丸ごと茹でる方法です。
皮がバリアの役割を果たし、水溶性のビタミンやうまみ成分が流れ出るのを防いでくれます。
また、水っぽくならず、じゃがいも本来のホクホク感を保つことができます。
基本的な茹で方
じゃがいもは、必ず水から茹で始めるのが基本です。
熱湯から茹でると、表面と中心部で温度差が大きくなり、外側が煮崩れる前に中心まで火が通りにくくなります。
- じゃがいもをたわしなどでよく洗い、泥を落とします。
- 鍋にじゃがいもと、かぶるくらいの水を入れ、火にかけます。
- 沸騰したら火を中火から弱火に落とし、竹串がスッと抵抗なく刺さるようになるまで茹でます。(大きさにもよりますが、15〜25分が目安です)
- 茹で上がったらザルにあげ、粗熱を取ります。熱いうちに皮をむくと、つるんと簡単にむけます。
茹ですぎに注意
特に煮込み料理などに使う場合は、ここで完全に柔らかくしすぎないことが重要です。
「竹串が刺さるけれど、少し抵抗がある」くらいの固めに仕上げることで、翌日の本調理で煮崩れるのを防げます。
じゃがいものアク抜きは何分が適切?

切ったじゃがいもを水にさらす「アク抜き」。
レシピでよく見かけるこの工程ですが、なぜ必要で、どれくらいの時間が適切なのでしょうか。
じゃがいものアクの正体は、主にポリフェノール類です。
これを抜く主な目的は2つあります。1つは変色の防止で、2つ目は余分なでんぷんを取り除くことが目的です。
切った断面は空気に触れると酸化酵素の働きで茶色く変色してしまいますので、水にさらすアク抜きをすることで空気に触れないようにして変色を防ぎ、でんぷんを取り除きます。
アク抜きの時間の目安は、5分から10分程度で大丈夫です。
じゃがいも全体が浸かるたっぷりの水の中に浸しましょう。
長時間さらしすぎないように
アク抜きは重要ですが、あまり長く水に浸し過ぎないようにしてください。
浸しすぎると、ビタミンCなどの水溶性の栄養素や、じゃがいもの風味までが流れ出てしまいます。
長くて10分程度を目安にして、長時間浸すことがないように気をつけましょう。
また、炒め物などでシャキッとした食感に仕上げたい場合は、水に浸して表面のでんぷんを洗い流すことで、じゃがいも同士がくっつきにくくなるというメリットもあります。
変色防ぐには水につけるのが正解
皮をむいたりカットしたりしたじゃがいもは、空気に触れるとすぐに切り口が茶色っぽく変色してしまいます。
これは、じゃがいもに含まれる「チロシン」という成分が、酵素の働きによって酸化されるために起こる現象です。
この変色を防ぐ最も簡単で確実な方法は、切ったじゃがいもをすぐに水につけることです。
少しでも空気に触れさせないよう水につけることで、物理的に空気との接触を遮断してくれるため、酸化反応が進むのを効果的に防ぐことができます。
調理の段取りで、じゃがいもを切ってから次に使うまで少し時間が空くことはよくありますよね。
そんな時でも、ボウルに張った水を用意しておき、すぐに入ることで、きれいな色を保てます。
前日に下ごしらえをして保存する場合も、この原則は同じです。
カットしたじゃがいもは、必ず水に完全に浸した状態で、蓋付きの保存容器に入れ、冷蔵庫で保存しましょう。
これにより、翌日まで変色することなく、新鮮な状態を保つことができます。
酢水につける方法も
変色防止効果をさらに高めたい場合は、水に少量のお酢(水1カップに対し小さじ1/2程度)を加えた「酢水」につけるのも有効です。
酢が酵素の働きを抑制するため、より強力に変色を防ぎます。
料理によっては酢の風味が残ることがあるため、使用後は軽く水で洗い流しましょう。
レンジで簡単!時短できる下処理方法

じゃがいもを鍋で茹でる時間がない、もっと手軽に下ごしらえを済ませたい、という場合に非常に便利なのが電子レンジを使った加熱方法です。
鍋やお湯を沸かす手間が省け、洗い物も少なく済むため、大幅な時間短縮につながります。
レンジを使った下処理の手順
じゃがいもを加熱する際の目安は、600Wの電子レンジで100gあたり2〜3分です。
用途に合わせて、丸ごと加熱する方法と、切ってから加熱する方法があります。
【丸ごと加熱する場合】
- じゃがいもをよく洗いましょう。芽があるときは必ず取り除くようにしましょう。
- 後で皮をむきやすくするため、皮にぐるりと一周、浅い切り込みを入れておきましょう。
- キッチンペーパーで包み、包んだものをラップで柔らかく包んでください。キッチンペーパーはウェットな状態にしてください。
- 600Wで3〜4分加熱してください(じゃがいも約150g)。
- 竹串を使って硬さを確認してください。刺してスッと通れば完了です。硬い場合は15~20秒ずつ追加加熱していき確認してください。
じゃがいもを丸ごとレンジで加熱する場合、ポテトサラダやコロッケなどにむいています。
【切ってから加熱する場合】
- じゃがいもは料理に適したサイズにカットして、すぐに水に浸してください。
- 5分程浸したら水気を軽く切り、お皿に切ったじゃがいもが重ならないように並べてください。
- カットしたじゃがいも1個につき、小さじ1程度の水を振りかけてから、こちらも柔らかくラップをかけてください。
- カットした場合は600Wで2分〜2分30秒ほど加熱し、竹串を使って硬さを確認してください。硬い場合は15~20秒ずつ追加加熱していき確認してください。
じゃがいもを切ってから加熱する場合、炒め物や煮物にむいています。
レンジ加熱の失敗の原因は、水分の蒸発によるパサつきです。
濡らしたペーパーを使ったり、少量の水を加えたりすることで、しっとりホクホクに仕上がります。
料理に活かす!じゃがいもの下ごしらえを前日に行うときの応用

- 肉じゃがのじゃがいも下ごしらえ
- シチューのじゃがいもを煮崩れさせないコツ
- チーズフォンデュのじゃがいもの準備
- 正しい保存方法と便利な冷凍活用術
- 完璧なじゃがいも下ごしらえで前日準備
肉じゃがのじゃがいも下ごしらえ
家庭料理の定番である肉じゃが。主役のじゃがいもを美味しく仕上げるには、下ごしらえが重要です。
前日に準備しておくことで、当日は煮込むだけで、味の染みた美味しい肉じゃがが手軽に作れます。
肉じゃがのじゃがいもは、少し大きめの乱切りにするのがおすすめです。
煮込んでいる間に多少煮崩れることで、じゃがいものでんぷんが煮汁にとろみを与え、全体の味をまとめてくれます。
切ったじゃがいもは、5〜10分ほど水にさらし、アクを抜きましょう。
これにより、煮汁が濁るのを防ぎ、すっきりとした味わいに仕上がります。
品種選びもポイント
肉じゃがには、ホクホクとした食感で少し煮崩れるくらいが美味しい「男爵」がよく合います。
逆にあっさりとした味付けで形を残したい場合は、煮崩れしにくい「メークイン」を選ぶと良いでしょう。
前日に下茹でまで済ませておく場合は、やや固めに茹で上げるのがコツです。
完全に火を通さず、中心に少し芯が残る程度で引き上げ、水気を切ってから冷蔵保存しておくと、当日の煮込み時間を短縮できます。
シチューのじゃがいもを煮崩れさせないコツ

シチューを作った際に、じゃがいもが溶けてなくなってしまった、という経験はありませんか。
シチューのように長時間煮込む料理では、じゃがいもの煮崩れを防ぐことが美味しく仕上げるための最大のポイントになります。
最も効果的な対策は、煮崩れしにくい品種を選ぶことです。
品種 | 特徴 | シチューへの向き/不向き |
---|---|---|
メークイン | 粘質でキメが細かく、煮崩れしにくい | ◎ 最適 |
とうや | 滑らかな食感で、メークイン同様に煮崩れしにくい | ○ 向いている |
男爵いも | 粉質でホクホクしているが、非常に煮崩れしやすい | △ 不向き |
キタアカリ | 甘みが強く美味しいが、男爵以上に煮崩れしやすい | × 不向き |
シチューには、断然「メークイン」がおすすめです。
でんぷん質が少なく粘質なので、長時間煮込んでも形が崩れにくい性質を持っています。
品種選びに加えて、以下の点も意識すると、さらに煮崩れを防ぐことができます。
- 大きめにカットする: 表面積が小さいほど、煮崩れにくくなります。
- 面取りをする: 切ったじゃがいもの角を包丁で薄く削ぎ落とすことで、角から崩れるのを防ぎます。
- 炒めてから煮る: 煮込む前に、表面を油で軽く炒めてコーティングすることで、形が保たれやすくなります。
チーズフォンデュのじゃがいもの準備

とろとろのチーズをたっぷり絡めていただくチーズフォンデュ。
パンやブロッコリーと並んで、じゃがいもは欠かせない人気の具材です。
チーズフォンデュに使うじゃがいもは、事前に必ず加熱して、中まで完全に火を通しておく必要があります。
当日に慌てないよう、前日に準備しておくと非常にスムーズです。
下ごしらえのポイントは、一口大の食べやすい大きさに切ることです。
皮はお好みで、むいても良いですし、新じゃがなどの場合は皮付きのままでも美味しくいただけます。
皮付きの場合は、たわしで表面をきれいに洗いましょう。
加熱は茹でるかレンジで
カットしたじゃがいもは、竹串がスッと通るまで柔らかく加熱します。
・鍋で茹でる場合: 水から茹でて、沸騰後10〜15分が目安です。塩をひとつまみ加えると、じゃがいもに下味がついてより美味しくなります。
・電子レンジの場合: 耐熱皿に並べて水を少し振り、ラップをして600Wで3〜4分加熱するのが手軽でおすすめです。
加熱が終わったら、しっかりと水気を切って冷ましておきましょう。
前日にここまで準備しておけば、当日はお皿に盛り付けるだけでOKです。
正しい保存方法と便利な冷凍活用術

前日に下ごしらえしたじゃがいもは、正しく保存することで鮮度と美味しさを保つことができます。
また、冷凍保存を使いこなせば、さらに調理の時短につながります。
下ごしらえ後の冷蔵保存
皮をむいてカットしたじゃがいもを冷蔵保存する場合には、カットしたじゃがいもが全て水に浸した状態になる密閉容器に入れ、野菜室で保存しましょう。
水に浸すことで、変色を防ぎ、乾燥から守りましょう。
この方法での保存期間は、当日中から翌日、長くとも2日が目安です。
時間が経つにつれて風味や栄養が損なわれるため、できるだけ早く使い切るようにしましょう。
便利な冷凍活用術
じゃがいもは生のまま冷凍すると食感が変わりやすいため、ひと工夫が必要です。
- カットして生のまま冷凍: 細切りや薄切りにして水にさらし、水気をしっかり拭き取ってから冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
凍ったままスープや炒め物に使うと、食感の変化が気になりにくいです。
保存期間は約1ヶ月です。 - マッシュして冷凍: 加熱して潰したマッシュポテトの状態にすると、食感を損なわずに冷凍できます。
小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋へ。
コロッケやポテトサラダ、スープの素として使え、非常に便利です。
保存期間はこちらも約1ヶ月です。
マッシュポテトを冷凍ストックしておくと、お弁当の隙間を埋める一品や、ハンバーグの付け合わせなどにサッと使えて本当に重宝しますよ!
完璧なじゃがいも下ごしらえで前日準備
この記事で紹介してきたポイントをまとめます。こちらをマスターすれば、じゃがいもの下ごしらえを前日に完璧に済ませることができます。
- 美味しい料理の基本は新鮮なじゃがいも選びから
- 芽や緑色の皮には毒素があるので必ず取り除く
- 下茹では生焼けを防ぎ調理時間を短縮する重要な工程
- 皮付きのまま水から茹でると風味と栄養を逃しにくい
- 下茹では本調理を考えやや固めに仕上げるのがコツ
- アク抜きは変色防止と雑味取りのため5分から10分行う
- 長時間水にさらしすぎると栄養が逃げるので注意
- 切ったじゃがいもはすぐに水につけて酸化を防ぐ
- レンジ加熱は時短に非常に有効な下処理方法
- 肉じゃがは少し大きめの乱切りでホクホク感を活かす
- シチューには煮崩れしにくいメークインが最適
- チーズフォンデュ用は一口大に切り完全に火を通しておく
- カットしたじゃがいもは水に浸して冷蔵保存する
- 下ごしらえ後の冷蔵保存は1日から2日以内に使い切る
- マッシュポテトにして冷凍すると長期保存が可能で便利