手羽先はジューシーで美味しい一方、独特の「臭み」が気になることがあります。
この手羽先の臭みは、調理前の下処理で大きく改善することが可能です。
「下処理必要?」と疑問に思うかもしれませんが、実は下処理には簡単な方法もたくさんあります。
臭みの原因は一つではありませんが、適切な臭い消しの方法を知っておけば、ご家庭での手羽先料理が格段に美味しくなります。
例えば、臭みには酒を使うのが定番ですし、他にも下処理で調味料を活用する方法が効果的です。
この記事では、手羽先の下処理として基本となる血抜きや切り込みの入れ方、茹でる方法から、調味液に漬け込むテクニック、さらには調理後の正しい保存方法まで、手羽先の臭みに関する悩みを解決する情報を網羅して紹介します。
- 手羽先が臭くなる具体的な原因
- 臭みを消すための基本的な下ごしらえの手順
- 茹でる・漬け込むなど効果的な臭み取りの技術
- 下処理後の鮮度を保つ正しい保存方法
手羽先の下処理|臭みの原因を知ることが第一歩

- 手羽先から出る臭みの原因とは?
- なぜ手羽先の下処理が必要?
- 簡単な血抜きで臭いを抑える
- 臭み取りに効果的な切り込みの入れ方
- 基本的な臭い消しの方法
手羽先から出る臭みの原因とは?
手羽先が臭う理由は、必ずしも腐っているからだけではありません。
主な原因を知ることで、適切な対策が取れます。
主な原因は「鶏の飼料」「保存状態」「鮮度の低下」の3つが挙げられます。
鶏の飼料や脂質
鶏が食べた餌の内容によって、肉自体の風味が変わることがあります。
特に外国産(ブラジル産など)の鶏肉は、皮と身の間にある黄色い脂が多い傾向があり、この脂が酸化することで臭いが出やすいと言われています。
これは腐敗とは異なるため、下処理で十分対応可能です。
冷蔵庫の臭い移り
鶏肉は他の食材の臭いを吸収しやすい性質を持っています。
冷蔵庫内にキムチや漬物、他の腐敗したものなど、臭いの強い食材があると、その臭いが手羽先に移ってしまうことがあります。
豆知識:ドリップも臭みの元
パック内に出ている赤い液体(ドリップ)は、血液ではなく肉の水分や旨味成分(ミオグロビンなど)です。
しかし、このドリップは細菌が繁殖しやすく、放置すると臭みの原因になるため、調理前には必ずキッチンペーパーで拭き取ってください。
腐敗によるもの
もちろん、消費期限が過ぎて単純に腐っている場合も強い臭いを発します。
この場合は、以下のような特徴が見られます。
- 酸っぱい臭いや、生ゴミのような明らかな腐敗臭がする
- 肉の表面がぬるぬるしていたり、糸を引いたりしている
- 肉の色が白っぽく変色していたり、灰色や緑がかっている
これらの状態の場合は、加熱しても食べることはできませんので、廃棄してください。
なぜ手羽先の下処理が必要?

手羽先の下処理は、料理の仕上がりを格段に良くするために非常に重要です。
このひと手間をかけることで、臭みを取り除くだけでなく、多くのメリットが得られます。
主な理由は「臭みの除去」「味の浸透」「火通りの均一化」です。
まず、ドリップや余分な血合いを取り除くことで、加熱した際の嫌な臭いを防ぎます。
次に、皮や肉に切り込みを入れることで、調味料が内部まで染み込みやすくなり、味がぼやけません。
さらに、骨付き肉は火が通りにくい部分があるため、下処理で切り込みを入れると熱が均一に伝わり、生焼けを防ぐことにも繋がります。
「面倒だな」と感じるかもしれませんが、下処理は美味しい手羽先料理を作るための土台作りです。
唐揚げや煮物、焼き物など、どんな料理でも仕上がりに差が出ますよ。
簡単な血抜きで臭いを抑える

手羽先や手羽元の臭みの大きな原因の一つが、骨の内部にある血(骨髄液)です。
これが加熱によって外に染み出し、臭みの元となります。
そこで、簡単な血抜きが効果的です。
最も手軽な方法は、鶏肉を流水で洗うことです。
このとき、骨の関節部分や切り口から、指で優しく血合いを押し出すようにして洗い流します。
より丁寧に行う場合は、ボウルに水を張り、少量の酒(分量外)を加えた「酒水」に手羽先を30分から1時間ほど浸けておく方法もあります。
ハンガリーの家庭料理でも、肉を水に浸けて臭みを取る下処理が行われることがあるようです。
注意点
長時間水に浸けすぎると、旨味成分まで流出してしまう可能性があります。
長くても1時間程度を目安にしましょう。
浸けた後は、必ずキッチンペーパーで水気を徹底的に拭き取ることが重要です。
臭み取りに効果的な切り込みの入れ方

前述の通り、手羽先に切り込みを入れることは、臭み取りと味の染み込み、火通りを良くするために非常に有効です。
部位によって切り込みの入れ方にコツがあります。
手羽先(L字の部分)の場合
皮がついていない面(裏側)から、2本ある骨に沿って、それぞれ刃先で1本ずつ切り込みを入れます。
これにより、骨の近くにある血合いや余分な脂が外に出やすくなります。
手羽元(太い部分)の場合
こちらも皮がついていない面から、骨に沿って1本または2本、深めに切り込みを入れます。
特に唐揚げや煮物にする際は、味が中までしっかり入るようになります。
食べやすさもアップ!
切り込みを入れておくと、加熱した際に肉が骨から自然と離れやすくなるため、食べる時にも身がほろっと取れて非常に食べやすくなります。
キッチンバサミを使っても簡単にできるので、ぜひ試してみてください。
基本的な臭い消しの方法

血抜きや切り込み以外にも、家庭にあるものですぐに実践できる基本的な臭い消しの方法があります。
代表的なものを3つ紹介します。
1. 塩を揉みこむ
手羽先に塩(鶏肉1枚に対し小さじ1.5杯程度)をしっかり揉み込み、数分置きます。
塩の浸透圧により、肉の内部から余分な水分と一緒に臭み成分が抜け出します。
その後、水で塩を洗い流し、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。
2. 酒をふる
料理酒や日本酒を振りかけて揉み込む方法です。
アルコールが臭み成分を中和・揮発させる効果があります。
また、酒には肉の保水性を高める効果もあるため、肉質を柔らかくジューシーに仕上げるのにも役立ちます。
3. 香味野菜(生姜・ニンニク・ネギ)を使う
生姜やニンニク、長ネギの青い部分は、その強い香りで鶏肉の臭みをマスキング(覆い隠す)してくれます。
煮物やスープを作る際に一緒に入れるだけで、臭みを抑え、料理に豊かな風味を加えてくれます。
手羽先の臭みを消す下処理|簡単で効果的な方法

- 下処理は簡単!熱湯をかけるだけ
- 手羽先を茹でる時間とコツ
- 臭みは酒でしっかり取り除く
- 下処理で調味料を活用する方法
- 調味液に漬け込むメリット
- 下処理後の正しい保存方法
下処理は簡単!熱湯をかけるだけ
時間がない時や、最も手軽に下処理を済ませたい場合に「湯通し(霜降り)」という方法が非常に有効です。
やり方はとても簡単です。
ボウルやザルに手羽先を入れ、沸騰したお湯を全体に回しかけるだけです。
肉の表面が白っぽくなったら、すぐに冷水に取るか、お湯を捨てます。
これだけで、表面の余分な脂肪やぬめり、臭みが洗い流されます。
特に煮物やスープなど、澄んだ仕上がりにしたい料理の前にこの処理を行うと、アクが少なくなり、雑味のないクリアな味わいになります。
50℃洗いも有効
熱湯をかける代わりに、50℃前後のお湯に2〜3分浸す方法もあります。
熱湯よりも低い温度でじっくり洗うことで、ドリップや脂を洗い流す効果が期待できます。
手羽先を茹でる時間とコツ

前述の「湯通し」よりもしっかりと臭みを取りたい場合や、煮込み料理の下ごしらえとして「下茹で」を行うこともあります。
調理法によって適切な茹で時間が異なります。
下処理(臭み取り)の場合
水炊きや煮物などの下処理として臭みを取るのが目的であれば、沸騰したお湯で2〜3分ほどさっと茹でます。(湯でこぼし)
この時、生姜やネギの青い部分を一緒に入れると、さらに臭み取りの効果が高まります。
茹で上がったらザルにあげ、流水で表面のぬめりやアクを洗い流します。
煮物やスープで柔らかくする場合
手羽先を柔らかくし、骨から美味しい出汁(だし)を取りたい場合は、30分から1時間程度じっくり煮込みます。
コトコトと弱火で煮込むことで、骨に含まれるコラーゲンや旨味がスープに溶け出します。
途中で出てくるアクは丁寧に取り除きましょう。
臭みは酒でしっかり取り除く

鶏肉の臭み取りとして、料理酒(または日本酒)は非常に効果的です。
これは、料理酒に含まれるアルコール成分が、鶏肉の臭み成分を中和し、加熱時に一緒に揮発させてくれるためです。
方法は、下処理を終えた手羽先に酒を振りかけるか、ボウルに入れて15分から20分程度漬け込むだけです。
酒には臭み消し以外にも、肉の保水性を高める効果があります。
これにより、唐揚げや焼き物にした際に、パサつかずにしっとりとジューシーな食感に仕上がります。
調理前には、余分な水分をキッチンペーパーで軽く拭き取ってから使いましょう。
下処理で調味料を活用する方法

酒や塩以外にも、臭み消しと肉質を柔らかくするために役立つ調味料があります。
牛乳
牛乳に含まれるタンパク質(カゼイン)が、臭みの成分を吸着し、包み込むことで臭いを和らげます。
手羽先が浸るくらいの牛乳に30分〜1時間ほど漬け込み、その後軽くすすいでから調理します。
フライドチキンなどの下味にもおすすめです。
味噌・ヨーグルト
味噌やヨーグルトに含まれる酵素(プロテアーゼ)には、肉のタンパク質を分解して柔らかくする作用があります。
同時に、味噌やヨーグルト自体の風味が臭みをマスキングしてくれるため、タンドリーチキンや味噌漬け焼きなどに最適です。
ブライン液(塩水)
水、塩、砂糖を混ぜた「ブライン液」に漬け込む方法も人気です。
これは主に保水性を高めて肉をジューシーにするためのものですが、塩水が余分な水分や血合いを外に出す手助けにもなります。
濃度5%(水500mlなら塩25g)の塩水に1時間ほど漬け込むと、焼き鳥店のようなパリパリ感とジューシーさを両立できるという情報もあります。
調味液に漬け込むメリット

醤油やみりん、生姜、ニンニクなどを合わせた調味液(タレ)に手羽先を漬け込むことには、多くのメリットがあります。
第一に、生姜やニンニクなどの香味野菜が臭みを強力に消してくれます。
第二に、塩分や糖分、酸(酢など)を含む調味液が肉の保水性を高め、柔らかくします。
第三に、当然ながら味がしっかり染み込むため、調理の手間が省けます。
特に「下味冷凍」は非常に便利です。
調味液と一緒にジッパー付き保存袋に入れて冷凍することで、保存性が高まるだけでなく、解凍の過程で味がさらに深く染み込みます。
調味液が肉の表面をコーティングするため、冷凍焼け(酸化や乾燥)を防ぐ効果も期待できます。
下処理後の正しい保存方法

せっかく下処理をしても、その後の保存方法が悪いと再び臭みが出たり、鮮度が落ちたりしてしまいます。
鶏肉は水分が多いため、他の肉類より傷みやすい点に注意が必要です。
冷蔵保存(1〜3日目安)
購入時のパックのまま保存するのは避けましょう。
ドリップが出ている場合は必ず拭き取り、キッチンペーパーで包んだ上からラップでぴったりと包みます。
さらにジッパー付き保存袋に入れ、空気を抜いてからチルド室で保存するのが理想です。
消費期限内に使い切りましょう。
冷凍保存(2〜4週間目安)
すぐに使わない場合は、鮮度が良いうちに冷凍します。
下処理(血抜き、水気拭き取り)を済ませた手羽先を1本ずつラップでぴったりと包み、重ならないように冷凍用保存袋に入れます。
金属トレーなどに乗せて急速冷凍することで、品質の低下を最小限に抑えられます。
解凍方法のコツ
冷凍した手羽先を解凍する際は、常温解凍は避けてください。
ドリップが大量に出てしまい、臭みの原因となります。
最もおすすめなのは「冷蔵庫での低温解凍」です。
時間はかかりますが、旨味の流出を最小限に抑えられます。
急ぐ場合は、袋の上から「氷水解凍」を行いましょう。
手羽先の下処理で臭みをなくすポイント
最後に、手羽先の臭みを取るための下処理のポイントをまとめます。
- 手羽先の臭みは腐敗だけでなく飼料や脂質が原因の場合がある
- 冷蔵庫内の他の食材からの臭い移りにも注意する
- 腐敗(ぬめり、変色、酸っぱい臭い)の場合は食べずに廃棄する
- 下処理は臭み取り、味の浸透、火通りを良くするために必要
- 調理前には必ずドリップをキッチンペーパーで拭き取る
- 骨の周りの血合いは流水で洗い流すか指で押し出す
- 水や酒水に30分〜1時間浸けて血抜きをする方法も有効
- 皮でない面に骨に沿って切り込みを入れると効果的
- 塩を揉み込んで数分置き、水で洗い流して臭みを抜く
- 料理酒を振るか漬け込むと臭みが消え肉質も柔らかくなる
- 生姜やニンニク、ネギの青い部分も臭み消しに役立つ
- 熱湯を回しかける「湯通し」は最も簡単な下処理方法
- 2〜3分「下茹で」するとアクや余分な脂が落ちる
- 牛乳やヨーグルトに漬け込むと臭みを吸着し肉が柔らかくなる
- 下処理後は水気をしっかり拭き取り、密閉して保存する

