こんにちは。下ごしらえ.com 運営者の「ゆたりん」です。
「すき焼きに豚肉を使ったら、なんだかまずい…」「牛肉の代わりに豚肉を使いたいけど、硬くなったり臭みが出たりしない?」そんな不安、ありますよね。
すき焼きに豚肉を使った時の評判が気になるし、実際、硬いお肉や臭みが残ると残念です。
でも、それって豚肉のせいじゃなくて、ちょっとした下ごしらえや調理のコツを知らないだけかもしれません。
どの部位を選んで、どんな割り下を使えばいいのか、また北海道などの地域ではどうなのか、気になりませんか?
実は、豚肉の特性に合わせた「下ごしらえ」と「火の通し方」さえマスターすれば、豚すき焼きは牛肉とは違う、格別な美味しさになるんです。
ゆたりんと一緒に、豚肉を柔らかく仕上げる科学的なコツを見ていきましょう!
- 豚すき焼きが「まずい」と感じる科学的な理由
- 豚肉の「臭み」を消すための具体的な下ごしらえ
- お肉を「硬く」させないための調理の裏ワザ
- 豚肉の旨味を引き出すおすすめの部位と食べ方
すき焼きに豚肉がまずい2つの原因

「すき焼きに豚肉は合わない!」…なんてことは、全然ないんですよ。北海道では豚肉が定番という地域もあるくらいです。
まずいと感じてしまったなら、それは豚肉が持っている2つの特徴的なハードル、「臭み」と「硬さ」が原因かもしれません。
牛肉と同じ感覚で調理してしまうと、この壁にぶつかりやすいんです。
でも大丈夫。どちらも科学的な理由があって、ちゃんと対策できるんですよ。
すき焼きに豚肉の評判は?
まず、そもそも「すき焼きに豚肉」って、世間的にはどう思われているんでしょうか?
ゆたりんも気になって調べてみたんですが、意外なことがわかりました。
もちろん「すき焼きは牛肉一択!」という方もいますが、「家計に優しいから豚肉を使う」「豚肉の脂の甘みが好き」という意見もすごく多いんです。
特に印象的だったのは、北海道や群馬県など、一部の地域では「すき焼き=豚肉」がスタンダードだということ。
育った環境によっては、牛肉のすき焼きより馴染みがあるんですね。
アンケート調査などを見ても、「まずい」という意見はほとんど見られず、むしろ「定番」「美味しい」という声が多数派でした。
ですから、「豚肉だからまずい」というのは、調理法が合っていない場合の感想で、豚肉自体に罪はないみたいです。
固定観念を外して、豚肉のポテンシャルを信じてみるのが良さそうですね。
原因1:豚肉の臭みを取る下ごしらえ

豚すき焼きがまずいと感じる最大の原因、それは「臭み」です。
牛肉に比べて、豚肉は独特の獣臭を感じやすい場合があります。
でも、この臭み、実は調理前にほぼ完璧に取り除くことができるんです。
一番の原因は、お肉のパックに溜まっている赤い液体、「ドリップ」です。
これは血液じゃなくて、お肉の水分やタンパク質が流れ出たもの。
雑菌が繁殖しやすく、臭みの最大の発生源なんです。
だから、調理前にはまず、このドリップをキッチンペーパーで徹底的に拭き取ってください。
お肉をバットに広げて塩をひとつまみ振って5分ほど置くと、浸透圧で中のドリップまで浮き出てくるので、それをしっかり押さえて拭き取るのがプロの技。
これをやるだけで、仕上がりが劇的に変わりますよ。
臭み取りの最重要ステップ
- 豚肉をバットに広げる。
- 塩をひとつまみ振り、5分待つ。
- 浮き出たドリップをキッチンペーパーで徹底的に拭き取る。
香りでごまかす(マスキング)前に、臭みの「発生源」を物理的に除去することが何より大切です。
臭み消しに効果的なお酒と生姜
ドリップを完璧に拭き取ったら、次の一手です。
残ったわずかな臭みも消し去りましょう。
すき焼きの風味を邪魔しない、和食の定番コンビ「お酒」と「生姜」が活躍します。
お酒(料理酒や日本酒)は、アルコールが蒸発するときに、臭みの成分も一緒に巻き込んで飛ばしてくれる(共沸効果)んです。
お肉全体に振りかけてよく揉み込み、できれば1時間、理想は半日ほど漬け込むとベスト。
お肉を柔らかくする効果もあって一石二鳥ですね。
生姜は、強い香りで臭みを隠す「マスキング効果」と、辛味成分が臭い自体を中和する「消臭効果」のダブルパンチが期待できます。
ここで大事なのが、必ず「生」の生姜を「すりおろし」て使うこと。
チューブタイプの生姜は、香料や食塩が添加されていることが多く、生姜本来の消臭効果が薄い場合があるんです。
生の生姜汁ごと揉み込むのが、一番確実な方法ですよ。
チューブ生姜に注意
手軽なチューブ生姜は、すき焼きの臭み取り用途にはあまり向きません。
生姜以外の香料が、逆にお肉の風味を邪魔してしまう可能性も。
下ごしらえには、生の生姜を使うことを強くおすすめします。
原因2:豚肉が硬くなるのを防ぐ砂糖
臭みの次にやってくる壁が、お肉の「硬さ」です。
「煮込んだらパサパサになっちゃった…」という経験、ありませんか?
豚肉のタンパク質は熱で凝固しやすく、水分が逃げて硬くなってしまいます。
特に赤身が多いロース肉やこま切れ肉は要注意です。
この問題を解決する、魔法のような下ごしらえが「砂糖」を揉み込むこと。
え、甘くなる?と思うかもしれませんが、ほんの少量で大丈夫。
お肉200gに対して砂糖小さじ1が目安です。
砂糖にはタンパク質と水分を結びつける「保水効果」があります。
砂糖の分子が水分をギュッと抱え込んでくれるので、加熱しても水分が流出しにくくなるんです。
さらに、すき焼きの割り下は醤油と砂糖で濃度が高いですよね。
そのままお肉を入れると、浸透圧でお肉の水分が奪われて(脱水)、一気に硬くなります。
先に砂糖を揉み込んでおくことは、この「脱水ショック」からお肉を守る、科学的な「防御シールド」にもなるんですよ。
調理の1時間前までに揉み込んでおくと効果的です。
肉を柔らかく保つ加熱のコツ
下ごしらえで万全の準備をしても、最後の最後、「火の通しすぎ」で全てが台無しになることも…。
豚肉、特に薄切り肉は、火が通り始めるとあっという間に硬くなります。
野菜が煮えるまですき焼き鍋の中でぐつぐつ…これは絶対にNGです。
豚すき焼きの成功を左右する最大のテクニック、それは「いったん取り出す」こと。
やり方は簡単です。
「いったん取り出す」技術
- 鍋に割り下を熱し、まず豚肉だけを入れます。
- 肉の色が変わったら(火が通ったら)、すぐに全ての肉を別皿に引き上げます。
- (重要!)肉を取り出したお皿に、鍋の煮汁を少しだけ回しかけておきます。
- 肉の旨味が移った割り下で、白菜やネギ、豆腐などを煮込みます。
- 全部の具材に火が通ったら、食べる直前に、お肉を鍋に戻してサッと温めます。
このひと手間で、お肉が煮詰まって硬くなるのを物理的に防げます。
休ませている間もお皿の煮汁で味が染み込みますし、冷めないように煮汁をかけておくのがポイント。
これは本当に効果絶大なので、ぜひ試してみてくださいね。
「すき焼きの豚肉はまずい」を覆すレシピ

さあ、下ごしらえと加熱のコツさえ掴めば、「すき焼きの豚肉はまずい」なんて印象はもう過去のもの。
ここからは、豚すき焼きのポテンシャルを120%引き出す、具体的なレシピのアイデアを紹介します。
部位の選び方から、牛肉とは違う「豚肉ならでは」の美味しい食べ方まで、ゆたりんのおすすめをまとめました!
すき焼きに最適な豚肉の部位
「豚すき焼き、どの部位でやるのが正解?」と迷うかもしれません。
豚肉にはロース、モモ、ヒレ、肩ロース、バラといろいろありますよね。
結論から言うと、すき焼きの難易度と味は、部位選びで大きく変わります。
まず、ヒレ肉やモモ肉のように脂肪が少ない赤身の部位。
これらは火を通すとすぐに硬くなり、パサパサした食感になりがちなので、すき焼きのような煮込み料理にはあまり向いていません。
逆に、脂身が多いバラ肉。
旨味はたっぷり出るんですが、豚の脂は牛肉のサシと違って融点が高く、冷めると白く固まりやすいんです。
そのため、口当たりが重く、しつこいと感じてしまうかもしれません。
そこで、これらの欠点を回避できるバランス型の部位がおすすめ。それが次の「ロース肉」なんです。
そして、部位以上に大事なのが「厚さ」。
必ず「すき焼き用」か「しゃぶしゃぶ用」として売られている薄切りを選んでくださいね。
火がすぐ通ることが、柔らかさを保つ大前提ですよ。
ロース肉がおすすめの理由
豚すき焼きに一番おすすめの部位、それはズバリ「ロース肉」です。
スーパーでも「すき焼き用」や「しゃぶしゃぶ用」の薄切りとして手に入りやすいですよね。(参照:キッコーマン公式サイト)
おすすめする最大の理由は、「赤身と脂身のバランスがちょうど良い」からです。
すき焼きは、お肉の脂身が溶け出して、その旨味が割り下や野菜に移ることで美味しさが増しますよね。
ロース肉は、パサつきがちな赤身の間に、適度な脂身(サシとは違いますが)が入っているため、煮込んでも硬くなりにくく、同時に豚肉の旨味もしっかりと出してくれます。
もし、節約のために「こま切れ肉」を使いたい場合は、いろんな部位が混ざっていて硬い赤身が多いので、前の章で紹介した「砂糖を揉み込む」下ごしらえが必須になります。
でも、ちょっと贅沢して豚すき焼きをメインディッシュにするぞ!という日は、ぜひロースの薄切りを選んでみてください。
味のバランスが格段に良くなりますよ。
豚すき焼きが文化の地域とは
すき焼きといえば牛肉、というイメージが強いですが、実は日本国内には「豚すき焼き」を郷土の味として愛している地域があるんです。
その代表格が、北海道です。
北海道では、家庭のすき焼き(というか「肉鍋」に近い文化)で使うお肉は「豚肉」が主流なんだとか。アンケートでも「すき焼きは豚でしょ!」という道民の方の声が多数見られました。(参照:PREZO、モランボン)
また、群馬県も豚肉の産地として有名で、「上州豚のすきやき」として豚肉を使ったすき焼きが親しまれています。
これらの地域では、豚肉は「牛肉の代用」ではなく、「豚すき」という一つの確立された料理として食文化に根付いているんですね。
牛肉はハレ(特別な日)の食材で、豚肉はケ(日常)の食材として、地元で愛され続けてきた歴史があるようです。
この事実を知るだけでも、「豚肉=まずい」という考えは思い込みかも?と思えてきますよね。
豚肉に合う割り下の作り方
豚すき焼きを美味しくするなら、割り下にも一工夫。
もちろん市販のすき焼きのタレでもOKですが、豚肉の風味に合わせて自分で作ってみるのも楽しいですよ。
基本は牛肉のすき焼きと同じ、醤油、みりん、酒、砂糖(または三温糖)で構成されます。
群馬風のレシピでは、野菜から水分が出ることを考慮して、やや濃いめに作るのがコツとされています。
豚肉は牛肉よりも風味が穏やかなので、割り下の味が仕上がりを大きく左右します。
ゆたりんのおすすめは、豚肉と相性抜群の「あの調味料」を隠し味に加えること。
それは次のセクションで紹介する「味噌」です。
いつもの割り下に少し加えるだけで、コクがぐっと深まります。
まずは基本の割り下で肉と野菜を煮込み、味見をしながら自分好みのバランスを見つけていくのがいいかなと思います。
豚肉の脂の甘さを引き立てる、少し甘め(でもしょっぱさも効いた)の味付けが、ご飯にもよく合いますよ。
味噌だれが豚すき焼きに合う訳
豚肉のポテンシャルを最大限に引き出す、革新的な割り下。
それが「味噌ベース」の割り下です。
「とん汁」や「回鍋肉」を思い浮かべてもらうと分かる通り、豚肉と味噌の相性は鉄板ですよね。
これには科学的な理由があります。
牛肉はそれ自体に強い旨味(イノシン酸)を持っていますが、豚肉は比較的風味が穏やか
そこに、旨味成分のグルタミン酸を豊富に含む「味噌」を加えることで、旨味の相乗効果が生まれるんです。
醤油だけのシンプルな割り下では到達できない、「味の奥行きとコク」を豚肉にプラスできる、という訳です。
豚みそすき焼き・割り下(目安)
- 液みそ(または普通の味噌): 大さじ1
- 濃口しょうゆ: 大さじ2
- 砂糖(または上白糖): 大さじ1.5
- 酒: 100cc
(※あくまで一例です。お使いの味噌の塩分に合わせて調整してくださいね)
作り方のコツは、最初に肉を炒めて鍋に香りを移してから、この「みそ割り下」を加えること。
濃厚な味わいになるので、生卵を絡めるとすごくマイルドになって最高ですよ。
卵以外の美味しい食べ方
すき焼きといえば「生卵」ですが、「豚肉を生卵につけるのは、衛生面や味の面でちょっと抵抗が…」という方もいらっしゃるかもしれません。
また、豚肉の脂の甘みは、卵のまろやかさよりも、酸味や辛味と合わせたほうが引き立つ場合もあります。
そこでおすすめしたいのが、卵以外の食べ方です。
さっぱりと:大根おろしとポン酢
これは鉄板ですね。
豚肉の脂を、大根おろしとポン酢の酸味がさっぱりと中和してくれます。
大根おろしには消化を助ける酵素も含まれているので、胃もたれしやすい方にもぴったり。
いっそ鍋に大根おろしを加えて「みぞれ煮」風にするのも美味しいですよ。
刺激的に:柚子胡椒
ピリッとした辛味と爽やかな香りが、豚肉の脂と甘辛い割り下をシャープに引き締めてくれます。
ポン酢に溶いて使うのが一般的。
大人の味変として、ぜひ試してみてほしい組み合わせです。
これなら、生卵が苦手な方でも豚すき焼きを存分に楽しめますし、食べ飽きたときの味変(あじへん)にも最高ですね。
すき焼きの豚肉がまずいと感じたら
もし、この記事を読んで実践しても「やっぱり、すき焼きの豚肉がまずい」と感じてしまったら…。
それはもう、調理法ではなく、好みの問題かもしれません。
牛肉のあの独特の風味や、とろけるようなサシの食感を「すき焼き」の絶対条件として求めている場合、豚肉では満足できないこともあると思います。
ただ、「まずい」と感じた原因が「臭み」や「硬さ」だったのであれば、今回ご紹介した方法で解決できる可能性が非常に高いです。
もう一度、下ごしらえのポイントをチェックしてみてください。
おさらいチェックリスト
- ✅ ドリップは徹底的に拭き取りましたか?
- ✅ お酒や「生」の生姜で臭み消しをしましたか?
- ✅ お肉に「砂糖」を揉み込みましたか?
- ✅ 使う部位は「ロース」の「薄切り」ですか?
- ✅ お肉は野菜の前に「いったん取り出す」加熱法を試しましたか?
豚すき焼きは、牛肉の「代用品」ではなく、豚肉の良さを引き出した「別ジャンルの鍋料理」として、とても美味しく、コストパフォーマンスにも優れた一皿です。
これらの技術を試して、ぜひ「まずい」から「格別!」への変化を体験してみてくださいね。

