ししとうの下ごしらえは、調理の基本でありながら意外と知らないポイントが多いものです。
加熱中に破裂させないためのコツや、へたや種の扱い方に迷った経験はありませんか。
また、適切な保存方法を知らないと、せっかくのししとうの日持ちが悪くなってしまいます。
この記事では、ししとうの基本的な下処理から、唐辛子や万願寺とうがらしとの違い、さらには炒め物や天ぷら、チャーハンといった定番レシピから少し変わったぬか漬けまで、ししとうを美味しく食べるための情報を網羅的に紹介します。
シンプルに焼くだけでも美味しいししとうの魅力を最大限に引き出しましょう。
- ししとうの基本的な下ごしらえと扱い方
- 鮮度を長持ちさせる冷蔵・冷凍保存のコツ
- 唐辛子や万願寺とうがらしとの見分け方
- 下ごしらえを活かした美味しい人気レシピ
基本のししとうの下ごしらえと保存方法

- 食べられる?ししとうのへたの処理
- ししとうの種は取る?取らない?
- ししとうと唐辛子と、万願寺とうがらしとの違い
- ししとうの正しい保存方法とは
- 冷蔵・冷凍での日持ちの目安
食べられる?ししとうのへたの処理
ししとうのへた(軸と実の付け根の部分)は、基本的に食べることができます。
ただ、少し硬い場合があるため、料理によって処理を変えるのがおすすめです。
例えば、天ぷらや素揚げ、串焼きなど、ししとうの形をそのまま活かしたい料理では、へたを付けたまま調理すると見栄えが良くなります。
へたの部分が持ち手代わりになり、食べやすいというメリットもあります。
この場合、軸の先端の硬い部分だけを少し切り落としておくと良いでしょう。
一方で、炒め物や和え物、佃煮など、他の食材と絡めて食感を均一にしたい場合は、へたを取り除いた方が口当たりが良くなります。
へたは包丁を使わなくても、指で軸を持って軽く傾けるだけで簡単に取ることが可能です。
へたの使い分けポイント
へたを残す料理:天ぷら、素揚げ、串焼き、肉巻き
へたを取る料理:炒め物、和え物、佃煮、生のまま食べる場合
取り除いたへたも、捨ててしまうのはもったいないです。
ごま油で炒めて醤油とみりんで味付けすれば、それだけで美味しい「へたのきんぴら」になりますよ。
ししとうの種は取る?取らない?

結論から言うと、ししとうの種は取らずにそのまま食べても全く問題ありません。
時々、「ししとうの辛いものに当たったのは種のせい」と考える方がいますが、これは誤解です。
ししとうの辛味成分であるカプサイシンは、種だけでなく果実全体に含まれています。
辛いししとうは、種を取り除いても辛いのです。
むしろ、種には栄養が含まれているため、丸ごと食べる方がししとうの栄養を余すところなく摂取できます。
ただし、料理の見た目を良くしたい場合や、種があることで食感が悪く感じられる場合は、取り除いても良いでしょう。
特に肉詰めなど、ししとうの中に具材を詰めるレシピでは、種を取り除く必要があります。
簡単な種の取り方
ししとうの種を簡単に取る裏ワザがあります。
まず、まな板の上にししとうを置き、手のひらで軽く圧をかけながら前後にゴロゴロと転がします。
こうすることで、内部で種が実から剥がれやすくなります。
次にへたを切り落とし、切り口を下に向けて指で軽く弾くと、面白いように種が飛び出してきます。
ぜひ試してみてください。
種が黒い場合は注意
ししとうは鮮度が落ちてくると、種から黒く変色し始めます。
種が黒くなっていても、実自体が腐っていなければ食べることはできますが、風味が落ちている可能性があります。
購入後はなるべく早めに使い切るのがおすすめです。
ししとうと唐辛子と、万願寺とうがらしとの違い

ししとうはナス科トウガラシ属の野菜ですが、見た目が似ているものに「唐辛子」や「万願寺とうがらし」があります。
これらは同じ仲間ではありますが、それぞれに明確な違いが存在します。
主な違いは、大きさ、辛さ、そして果肉の厚みです。
ししとうはたまに辛いものに当たることがありますが、基本的には辛くない甘味種に分類されます。
違いを下の表にまとめました。
種類 | 大きさ | 辛さ | 果肉 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|
ししとう | 小さい(5〜6cm) | 基本は辛くない(たまに辛いものがある) | 薄い | 先端が獅子の頭に似て凹んでいる。 |
万願寺とうがらし | 大きい(15cm前後) | 全く辛くない | 厚く、甘みが強い | 京野菜の一種。大きくてジューシー。 |
唐辛子(青唐辛子) | 小さい〜中くらい | 非常に辛い | 品種による | 刺激的な辛味が特徴。薬味などに使われる。 |
ししとうの正しい保存方法とは

ししとうは乾燥と低温に弱い野菜です。
そのため、適切な方法で保存しないとすぐに鮮度が落ちてしまいます。
保存方法は、数日以内に使い切るなら「冷蔵保存」、長期保存したいなら「冷凍保存」が適しています。
冷蔵保存の手順
冷蔵保存のポイントは、乾燥を防ぎつつ、冷えすぎないようにすることです。
ししとうは寒さに弱いため、冷蔵庫の冷気が直接当たると低温障害を起こし、傷みやすくなります。
- ししとうを洗い、キッチンペーパーで水気を丁寧に拭き取ります。
- 数本ずつまとめてキッチンペーパーで包みます。
- ポリ袋や保存袋に入れ、口を軽く閉じて冷蔵庫の野菜室で保存します。
低温障害に注意
ししとうの保存に適した温度は8〜10度とされています。
通常の冷蔵室(2〜5度)では冷えすぎてしまい、表面に窪みができたり変色したりする「低温障害」を起こす可能性があります。
必ず温度が高めに設定されている野菜室で保存しましょう。
冷凍保存の手順
冷凍すれば、ししとうの保存期間を大幅に延ばすことができます。
食感も大きくは変わらないため、非常に便利な方法です。
- ししとうを洗い、水気をしっかりと拭き取ります。
- へたは残したまま、軸の部分だけを切り落とします。(へたごと取ると断面から酸化しやすくなります)
- 加熱時の破裂を防ぐため、つまようじで数カ所に穴を開けるか、包丁で切り込みを入れます。
- 冷凍用の保存袋に、なるべく重ならないように平らに入れて冷凍します。
冷蔵・冷凍での日持ちの目安

前述の通り、正しい方法で保存することで、ししとうの日持ちは大きく変わります。それぞれの保存期間の目安を把握し、計画的に使い切りましょう。
冷蔵保存の日持ち
冷蔵保存する場合、野菜室で保存し、さらにキッチンペーパーとポリ袋に入れて保存しましょう。
この場合で日持ちの目安は約1週間です。
ただし、これはあくまで目安であり、ししとうの鮮度や冷蔵庫の環境によって変わります。
購入後はなるべく早く、3〜4日以内に食べるのが最も美味しくいただけます。
日が経つにつれてハリが失われ、種が黒ずんでくることがあります。
冷凍保存の日持ち
ししとうをはじめ、生のとうがらし類は水分が多く、冷凍保存できますが長期保存が難しい性質を持っています。
自然解凍すると水分が出て食感が悪くなってしまうため、注意が必要です。
冷凍保存した場合、日持ちの目安は約1ヶ月です。
冷凍したししとうを使うときは、解凍はしなくて大丈夫です。
凍ったまま炒め物や煮物などに使って大丈夫です。
保存期間のまとめ
- 冷蔵保存(野菜室):約1週間
- 冷凍保存:約1ヶ月
いずれの場合も、できるだけ早めに使い切るのが風味を損なわないコツです。
ししとうの下ごしらえを活かす絶品料理

- シンプルに焼くのが一番美味しい
- 定番の炒め料理を美味しく作るコツ
- サクサク食感の天ぷらの揚げ方
- 簡単パラパラ!本格チャーハンの作り方
- 意外な組み合わせ?ししとうのぬか漬け
- ししとうの下ごしらえを覚える簡単レシピ
シンプルに焼くのが一番美味しい
ししとうの風味とほのかな苦みを最も楽しめる食べ方の一つが、シンプルな素焼きです。
下ごしらえさえ済ませてしまえば、調理時間はわずか数分。
あと一品欲しいときにも最適です。
作り方は非常に簡単です。
まず、洗って水気を拭いたししとうの軸を切り、破裂防止のために包丁の先や竹串で1〜2ヶ所穴を開けます。
これをフライパンや魚焼きグリルに入れ、油を引かずに中火でじっくりと焼きます。
表面に香ばしい焼き色がついたら完成です。
味付けは、食べる直前に醤油を少し垂らし、かつお節をたっぷりとかけるのが定番です。
シンプルに塩を振るだけでも、ししとう本来の味を堪能できます。
素材の味を活かした、お酒のおつまみにもぴったりの一品です。
フライパンで焼く場合は、ごま油を少量たらして焼くと風味がアップします。
トースターでも手軽に作れるので、コンロがふさがっている時に便利ですよ。
定番の炒め料理を美味しく作るコツ

ししとうは炒め物にも最適な食材です。
豚肉や鶏肉、あるいは他の野菜との相性も抜群で、料理に彩りと風味を加えてくれます。
美味しく作るコツは、強めの火で短時間で仕上げることです。
長く加熱しすぎると、ししとう特有のシャキッとした食感が失われ、色もくすんでしまいます。
下ごしらえとして穴を開けたししとうを、熱したフライパンでさっと炒め、焼き色がついたら味付けをして手早く完成させましょう。
おすすめの組み合わせ
- ししとうと豚バラの甘辛炒め:甘辛いタレがししとうのほろ苦さと絶妙にマッチします。
- ししとうとじゃこのごま油炒め:じゃこの塩気とごま油の香りが食欲をそそります。
- ししとうのガーリックバター醤油:にんにくとバターの風味がたまらない、おつまみに最適な一品です。
これらの料理では、ししとうは最後の方に加え、食感を残すようにするのがポイントです。
サクサク食感の天ぷらの揚げ方

ししとう料理の王道といえば、やはり天ぷらでしょう。
揚げることで甘みが増し、外はサクサク、中はジューシーな食感が楽しめます。
美味しい天ぷらを作るための重要なポイントは以下の通りです。
- 水気を完全に拭き取る:洗った後の水分が残っていると、衣がつきにくくなるだけでなく、油はねの原因にもなります。
キッチンペーパーで念入りに水気を拭き取りましょう。 - 破裂防止の穴を開ける:これは必須の工程です。加熱中に内部の空気が膨張して破裂するのを防ぎます。
必ず1〜2ヶ所、切り込みを入れるか穴を開けてください。 - 薄く打ち粉をする:衣を付ける前に、ししとう全体に薄力粉を薄くまぶしておきます。
これにより、衣が剥がれにくく、きれいに仕上がります。 - 揚げ時間と温度:170〜180℃の油で、1分弱を目安にさっと揚げます。
揚げすぎると色が黒くなり、食感も悪くなるので注意が必要です。
天ぷらにする場合、へたは切り落とさずに残しておくと、見た目が美しく、手で持って食べやすくなります。
軸の先端だけを少し切り揃えておくと良いでしょう。
簡単パラパラ!本格チャーハンの作り方

チャーハンの具材として、ししとうは少し意外に思われるかもしれませんが、実は非常に良いアクセントになります。
ししとうをチャーハンに使う際は、5mm程度の小口切りにするのがおすすめです。
下ごしらえとしてへたを取り、縦半分に切ってから刻むと良いでしょう。
種は取っても取らなくても構いません。
作り方のポイントは、ししとうを他の具材と一緒に炒めるタイミングです。
長ネギやチャーシューなどと一緒にご飯を入れる前の段階で炒めることで、ししとうの香りが油に移り、チャーハン全体に風味が行き渡ります。
ししとうの鮮やかな緑色が、チャーハンの彩りを豊かにしてくれる効果もあります。
ししとうのほのかな苦みが、チャーハンの油っぽさを和らげ、後味をさっぱりさせてくれます。
いつものチャーハンに少し変化を加えたい時に、ぜひ試してみてください。
意外な組み合わせ?ししとうのぬか漬け

ししとうは、炒めたり揚げたりするだけでなく、ぬか漬けにすることも可能です。
生のまま漬けることで、ししとう本来のパリッとした食感と爽やかな風味を、ぬか床のうま味と共に楽しめます。
漬け方はとても簡単です。
- ししとうを洗い、水気をしっかり拭き取ります。
- へたを切り落とします。
- 味が染み込みやすいように、つまようじなどで全体に数カ所穴を開けます。
- ぬか床に半日〜1日程度漬け込みます。
漬け時間が短いと浅漬けのような爽やかな味わいに、長く置くと古漬けのような深い味わいになります。
お好みの漬かり具合を見つけてみてください。
ぬか漬けにすることで、ししとうを生で食べる新しい楽しみ方ができます。
ぬか床への影響について
ししとうには辛味成分カプサイシンが含まれているため、大量に漬けるとぬか床の乳酸菌の働きに影響を与える可能性が指摘されることもあります。
ただ、一般的な量であれば大きな問題はありません。
もし心配な場合は、一度に漬ける量を少なくすると良いでしょう。
ししとうの下ごしらえを総括
この記事のポイントをまとめます。
- ししとうは加熱時の破裂を防ぐため必ず穴を開ける
- へたは食べられるが料理によって取るか残すか選択する
- 種も食べられ辛さの原因ではないため取らなくても良い
- 簡単な種の取り方はまな板の上で転がしてから弾き出す
- ししとうは唐辛子と違い基本的には辛くない甘味種
- 万願寺とうがらしはししとうより大きく肉厚で甘みが強い
- 冷蔵保存は乾燥と低温を防ぐのがコツ
- キッチンペーパーで包みポリ袋に入れ野菜室で保存する
- 冷蔵の日持ち目安は約1週間
- 長期保存なら冷凍がおすすめで日持ちは約1ヶ月
- 冷凍する際はへたを残し軸だけ切り落とす
- 冷凍したししとうは解凍せず凍ったまま調理に使う
- 素焼きはししとう本来の味を楽しむシンプルな調理法
- 炒め物は強火で短時間調理が食感を残すポイント
- 天ぷらは水気を拭き取り打ち粉をするのがサクサクの秘訣
- ぬか漬けにすると生の食感と風味を楽しめる