平日の夜、重い足取りで帰宅し、玄関を開けた瞬間に襲ってくる「夕飯、どうしよう……」という絶望感。
冷蔵庫には、先週末に「やる気」だけで買った野菜たちが、しなびてこちらを見ています。
「使い切らなきゃ」という罪悪感と、「今は包丁すら握りたくない」という疲労感の板挟み。
結局、スマホでお惣菜やデリバリーを検索してしまう自分に、また少し自己嫌悪を感じてしまう。
もし、あなたが今こんな状況にいるのなら、それはあなたの料理の腕が悪いからでも、段取りが悪いからでもありません。
ただ、「作り置きの始め方」が、あなたのライフスタイルに合っていないだけなのです。
SNSで見るような、色とりどりのおかずが10品以上並んだ美しい冷蔵庫。
あれは「作り置き」ではなく、もはや「イベント」です。
忙しい共働きの私たちが目指すべきは、あのような完璧さではありません。
私たちが目指すべきは、「平日の夜、包丁とまな板を出さずに、15分で温かいご飯が食べられる仕組み」です。
この記事では、過去に何度も食材をダメにしてきた筆者がたどり着いた、「絶対に失敗しない・頑張りすぎない作り置きの生存戦略」をお伝えします。
難しいレシピは一切なし。
まずは「腐らせない安心」と「心の余裕」を手に入れることから始めましょう。
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「週末作り置き」で疲れていませんか?平日を救うのは完成品より「下ごしらえ設計」でした
「作り置き=週末の重労働」という誤解を捨ててください

「作り置きを始めよう!」と決意した初心者が一番やりがちなミス。
それは、土日の貴重な休みを半日潰して、大量のおかずを作りだめしてしまうことです。
これこそが、失敗への片道切符です。
SNSの「#作り置き」を真似すると100%挫折する理由
Instagramなどで見かける「#作り置きおかず」の投稿。
あれを真似しようとしていませんか?
はっきり申し上げますと、あれは上級者の遊び、あるいはプロの領域です。
初心者がいきなり10品、15品と作ろうとすると、以下のような負のループに陥ります。
・買い出しで疲弊: 大量の食材をスーパーから運ぶだけで体力を消耗。
・キッチンのキャパオーバー: コンロが塞がり、洗い物がシンクに溢れかえる。
・集中力の低下: 2時間を超えると疲れで味が決まらなくなり、衛生管理も雑になる。
・結果、腐らせる: 食べきれない量を作ってしまい、金曜日にゴミ箱へ……。
これでは、節約のための自炊が「浪費」に変わってしまいます。
まずは「映え」を捨て、「実用性」だけに特化しましょう。
目標は「水曜日までの3日間」木・金は頑張らなくていい

最初のゴールは低く設定します。
「月・火・水」の3日間を乗り切る分だけあれば合格です。
週の後半である木曜日や金曜日は、疲れもピークに達しています。
そこまで作り置きで賄おうとすると、週末の負担が大きすぎます。
木・金は、冷凍餃子の日でもいいし、レトルトカレーの日でもいい。
「週の半分は手作りできた」という実績だけで、自分を褒めてあげてください。
この「3日ルール」を守るだけで、週末の調理時間は驚くほど短縮され、心理的なハードルが劇的に下がります。
包丁を持つのも億劫な夜を救う「半調理」という保険

作り置きには2つの流派があります。
「完成まで作ってしまう(完全調理)」と「焼くだけの状態にしておく(半調理)」です。
初心者が選ぶべきは、後者の「半調理(下ごしらえ)」一択です。
【最優先】肉は焼かない 「下味冷凍」が未来の自分を助ける

「週末にハンバーグを焼いておく」のではなく、「タネを作って冷凍しておく」、あるいはもっと簡単に「肉をタレに漬けて冷凍しておく」。
これが下味冷凍です。
これは単なる時短テクニックではありません。
理にかなった「美味しくなる調理法」なのです。
肉が柔らかくなる: 調味料(特に玉ねぎや舞茸、塩麹など)の酵素や酸が、冷凍されている間にゆっくりと肉の繊維をほぐしてくれます。
味が染み込む: 解凍される過程で、味が中までじっくり浸透します。
出来立てが食べられる: 食べる直前に焼くので、作り置き特有の「温め直した味」がしません。
【初心者におすすめの黄金比】
豚こま切れ肉200gに対し、「醤油・酒・みりん各大さじ1.5+生姜チューブ3cm」。
これをジップロックに入れて揉み込むだけ。
平日の朝、冷蔵庫に移して解凍し、夜は野菜と一緒に炒めれば、立派なメインディッシュの完成です。
【次点】野菜は「自家製ミックス」にする

平日の料理が面倒な最大の理由は、「野菜を洗って、皮を剥いて、切る」という作業にあります。
これを週末に済ませておくだけで、平日夜のあなたは「袋から出してフライパンに入れるだけ」のシェフになれます。
おすすめは「きのこミックス」と「豚汁用野菜セット」です。
きのこは数種類をほぐしてミックスして冷凍すると、旨味成分(グアニル酸)が数倍にアップすることが分かっています。
使うときは凍ったままスープや炒め物に放り込むだけ。
包丁もまな板も汚れません。
初心者は「日持ちする煮物」を作らなくていい

ひじきの煮物や切り干し大根。
「作り置きの定番」と思われがちですが、一旦忘れましょう。
これらは地味な割に手間がかかり、しかもメインのおかずにはなりません。
「苦労して作ったのに、家族があまり食べてくれなくて残る」という悲劇を招きやすいメニュー筆頭です。
まずはメインとなる「肉・魚」の下準備に全力を注いでください。
「腐らせたらどうしよう」の不安を消す衛生管理の鉄則

「せっかく作ったのに、なんか酸っぱい匂いがする……」。
この恐怖体験だけは避けなければなりません。
食中毒を防ぐための知識は、自分と家族を守る盾になります。
食中毒菌は「30℃〜40℃」が大好き
菌が最も爆発的に繁殖するのは、人肌程度の温かさ(約30℃〜40℃)です。
つまり、「自然に冷めるのを待つ時間」こそが、最も危険な時間なのです。
「粗熱が取れるまで置いておく」とよく言いますが、夏場などはのんびり置いておいてはいけません。
保冷剤の上に保存容器を置いたり、バットに広げて扇風機の風を当てたりして、「魔の温度帯」を一気に通過させる意識を持ってください。
冷めてから冷蔵庫に入れるのではなく、「強制的に冷ましてすぐ冷蔵庫」が正解です。
耐熱ガラスへの投資価値

100円ショップのタッパーは手軽ですが、作り置きを続けるなら耐熱ガラス製の保存容器(iwakiやHARIOなど)への投資を強くおすすめします。
おすすめの理由
・油汚れが一発で落ちる: プラスチック特有の「何度洗ってもヌルヌルする」ストレスから解放されます。
・中身が見える: 冷蔵庫を開けた瞬間、「あ、これがある」と認識できるため、使い忘れ(食品ロス)が防げます。
・そのまま食卓へ: 器として美しいので、お皿に移し替える手間も洗い物も減ります。
初期費用はかかりますが、「洗い物のストレス減」と「食材廃棄ゼロ」の効果で、数ヶ月で元は取れます。
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よくある質問
Q. 3日目以降に残ったおかず、どうすればいい?
A.無理に食べ切ろうとせず、潔く冷凍しましょう。
「明日食べるかも」と冷蔵庫に残し続けるのが一番危険です。
ただし、こんにゃくや豆腐、ジャガイモなど冷凍に向かない食材が入っている場合は、その日のうちに食べ切るか、リメイク(卵でとじる、カレー粉で味を変えるなど)して消費してください。
Q. 「冷凍焼け」でお肉がパサパサになるのを防ぐには?
A.最大の敵は「空気」です。
下味冷凍をする際、保存袋の空気をこれでもかというほど抜いて密閉してください。
ストローで空気を吸い出す方法もありますが、水を入れたボウルに袋を沈めながら閉めると、水圧で綺麗に空気が抜けます(水が入らないよう注意!)。
これで2週間は美味しい状態をキープできます。
Q. 結局、何から買い揃えればいいですか?
A.まずは「ジップロック(Mサイズ)」と「耐熱ガラス容器(中サイズ)2個」、そして「キッチン用アルコールスプレー」です。
いきなり高価な調理器具を買う必要はありません。
特にアルコールスプレーは、保存容器にシュッと一吹きしてキッチンペーパーで拭くだけで、除菌効果が高まり、日持ちが格段に良くなります。
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まとめ
作り置き初心者のあなたが、最初の1週間で達成すべきことは「すごい料理」を作ることではありません。
「平日、家に帰ってから包丁を握らなくてもご飯ができた!」という感動を味わうことです。
見栄を張らない: 月〜水の3日分だけ、メインと副菜の「半調理」を用意する。
道具に頼る: 耐熱ガラス容器とジップロックを使い倒す。
温度を管理する: 「魔の温度帯」を避けるために、急いで冷ます。
この3つさえ守れば、大きな失敗は防げます。
週末の1時間をキッチン投資するだけで、平日の夜、あなたはソファーでゆっくりテレビを見る時間を取り戻せます。
さあ、今度の週末は、特売のお肉を買って「下味冷凍」を1つ作ることから始めてみませんか?
それはきっと、未来のあなたからの「ありがとう」に変わるはずです。
参考文献・引用元リスト
厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」
農林水産省「簡単な「冷凍ワザ」で、野菜を新鮮に!おいしく!」
食品安全委員会「食中毒予防のポイント」
