失敗しないわらびの下ごしらえガイド!あく抜き、保存法、レシピ

わらび 下ごしらえ 野菜の下ごしらえ

春の訪れとともに食卓を彩る山菜の女王、わらび。

独特のぬめりやほろ苦さが魅力ですが、「わらびの下ごしらえが難しそう」「あく抜きの仕方が分からなくて手を出しにくい」と感じる方も多いのではないでしょうか。

実はわらびには天然毒(プタキロサイド)が含まれるため、美味しく安全に食べるためには、丁寧なあく抜きが必須です。

本記事では、この必須の下処理について、一般的な重曹を使った簡単で確実な方法はもちろん、アク抜きに灰を用いる伝統的な方法、さらには重曹なしで小麦粉や米ぬかを使う方法まで、多角的に紹介します。

また、こごみやぜんまいとの見分け方や、あく抜きしないとどうなるのかといった基礎知識から、下処理後の保存方法や、すぐに試せる絶品レシピまで網羅的にご紹介します。

わらびとぜんまい・こごみとの違いを理解し、正しい知識を身につけて、春にはぜひ安全で美味しいわらびを楽しみましょう。

  • わらびを美味しく安全に食べるための必須の下処理方法がわかる
  • 重曹や灰、米ぬかなどを使った確実で簡単な「あく抜きの仕方」がわかる
  • わらび・ぜんまい・こごみの見た目や下処理の「違い」がわかる
  • あく抜き後の冷蔵・冷凍「保存方法」と定番から応用までの絶品「レシピ」がわかる

必須!失敗しないためのわらびの下ごしらえの基本と重要性

わらび 下ごしらえ
  • わらび ぜんまい こごみ 違い:山菜の基本知識
  • あく抜きしないとどうなる?毒性と食味への影響
  • あく抜きの仕方:基本のアルカリ処理
  • 重曹を使った確実で簡単なあく抜きの仕方
  • アク抜き 灰を使う昔ながらの風味豊かな方法
  • あく抜き 米ぬかや重曹なしで簡単にできる方法

わらびとぜんまい・こごみとの違い:山菜の基本知識

わらび 下ごしらえ

春の山菜としてよく似た形状を持つわらび、ぜんまい、こごみですが、それぞれにはっきりとした違いがあります。

これらの山菜は全てシダ植物の若芽を食用としますが、特に下ごしらえにおいて大きな差が出ます。

山菜名見た目の特徴下処理の必要性茎の断面
わらび先端が小さく2~3つに枝分かれしている(こぶし状)、ツヤがないあく抜きが必須(毒性が強い)円形
ぜんまい先端が大きくクルクルと渦巻き状、全体が茶色っぽい綿毛に覆われているあく抜きが必須(アクが強い)コの字型(補足情報より)
こごみ先端がクルクルと渦巻き状、鮮やかな緑色、綿毛がないあく抜きが不要(アクがほとんどない)コの字型

このように、こごみは水洗いだけで食べられるのに対し、わらびとぜんまいは必ずあく抜きが必要です。

特にわらびは天然毒を含むため、下処理の重要性が高いと言えます。

あく抜きしないとどうなる?毒性と食味への影響

わらび 下ごしらえ

なぜわらびのあく抜きが必須なのかというと、その理由は主に二つあります。一つは食味に関するもので、もう一つは安全に関わるものです。

まず、あく抜きしないとどうなるかというと、わらび特有の強い苦味やえぐみが残り、非常に食べにくい状態になります。

山菜の苦味は「春の味」とも言われますが、わらびのアクは強すぎるため、そのままでは料理全体の味を損なってしまいます。

次に、最も重要な理由として、わらびには発がん性物質とされる「プタキロサイド」という天然毒が含まれていることが挙げられます。

この毒素は熱とアルカリ性で分解される性質があります。

注意:
わらびをあく抜きしないとどうなるかという点について、強い苦味やえぐみを感じるだけでなく、化学物質が含まれるため中毒を起こすおそれがあるとされています。

特にプタキロサイドという発がん性物質が含まれており、適切なあく抜きの仕方で熱処理をすることが、有害成分を無毒化し安全に食べるために不可欠であるとされています。

これらの理由から、採れたての新鮮なわらびであっても、必ず適切なあく抜きの仕方で下処理を行うことが、美味しく安全にいただくための大前提となります。

わらびをあく抜きしないとどうなるかという点について、強い苦味やえぐみを感じるだけでなく、化学物質が含まれるため中毒を起こすおそれがあるとされています。

特にプタキロサイドという発がん性物質が含まれており、適切なあく抜きの仕方で熱処理をすることが、有害成分を無毒化し安全に食べるために不可欠であるとされています。

これらの理由から、採れたての新鮮なわらびであっても、必ず適切なあく抜きの仕方で下処理を行うことが、美味しく安全にいただくための大前提となります。
参照 内閣府:食品安全委員会

あく抜きの仕方:基本のアルカリ処理

わらび 下ごしらえ

わらびのあく抜きの仕方で最も一般的で確実とされるのが、アルカリ性の物質と熱を利用する方法です。

アクの成分であるチアミナーゼやプタキロサイドは、アルカリ性と熱によって分解される性質があります。

このため、古くから使われてきたアク抜きのほうほうとして灰(木灰)を用いる方法や、現在広く使われている重曹(食用グレードの炭酸水素ナトリウム)を熱湯に加える方法が基本となります。

これらのアルカリ性の水にわらびを一晩浸けておくことで、繊維が柔らかくなり、水溶性のアクが溶け出しやすくなるのです。

ここでは、あく抜きの共通する基本的な手順をご紹介します。

具体的な手順としては、まず、わらびの根元の硬い部分や開きすぎた穂先を取り除き、容器に平らに並べます。

次に、アルカリ性の物質(重曹やアク抜き用の灰)を投入した熱湯を、わらび全体が浸るまで注ぎます。

その後、落としぶたなどをして一晩(約8時間以上)放置し、最後にアクが出なくなるまで水換えをして水にさらすという流れです。

あく抜きの仕方は、この基本のプロセスを理解することが成功への鍵となります。

重曹を使った確実で簡単なあく抜きの仕方

現在の家庭でわらび 下ごしらえをする際、最も手軽で確実なあく抜きの仕方は、重曹(食用)を使う方法です。

重曹はスーパーなどでも容易に入手でき、分量を守れば失敗が少ないため、初心者の方にも簡単でおすすめできます。

重曹を使ったあく抜きの具体的な手順

  1. ワラビの根元を約1cm切り落とし、穂先を取る(穂先を取ることでより安全性を高めます)。
  2. ワラビを容器に平らに並べ、食用の重曹を振りかけます。目安は水1Lに対し小さじ1程度です。
  3. 用意した水を沸騰させ、そのお湯をワラビ全体が浸る程度まで注ぎます。
  4. 落としぶたをして、そのまま一晩、約8時間以上おきます。
  5. 翌日、水を捨ててきれいな水に入れ替えます。黒っぽいアクが出なくなるまで、水を交換しながら20分くらい水にさらしたら完了です。

重曹の量は、多すぎるとわらびが柔らかくなりすぎ、少ないと苦味が残ってしまうため、計量スプーンで正確に量ることが簡単に成功させるためのポイントです。

また、沸騰直後の熱すぎるお湯に入れると、わらびの食感が悪くなるため、少し粗熱をとってから加えるよう注意が必要です。

重曹を使ったあく抜きの仕方では、お湯の温度が高すぎるとわらびが溶けてしまう可能性があります。

そのため、必ず火を止めて粗熱を取ってからわらびを加えましょう。

また、アルミ製の鍋を使うと鍋が痛む可能性があるため避けてください。

アク抜き:灰を使う昔ながらの風味豊かな方法

わらび 下ごしらえ

古くから伝わるわらびのあく抜きの仕方として、灰(木灰)を使う方法があります。

これはアルカリ性物質として、重曹と同様にアクを抜く効果があるものです。

アク抜きの方法として灰を使う最大のメリットは、重曹を使用した場合と比べて、風味を損ないづらく、より風味良く仕上がるとされている点です。

重曹を使うと、わずかに苦味が残ったり、風味が損なわれたりする場合がありますが、灰はわらび本来の香りを活かすことに優れています。

古くから薪を使った調理をしていた時代には、身近なものでした。

具体的な手順としては、わらびの切り口と全体にアク抜き用の灰をひと握り程度まぶし、別で沸かしたお湯をかけて一晩つけおきします。

つけおき後は、重曹を使った方法と同様に、流水で洗い流し、きれいな水に数回さらしてアクを抜けば完了です。

アク抜き用の灰は手に入れにくい場合もありますが、より本格的で自然な風味を楽しみたい方にはおすすめのあく抜きの仕方です。

あく抜き:米ぬかや重曹なしで簡単にできる方法

重曹なしでわらびの下ごしらえをしたい方のために、家庭で手に入りやすい材料を使った簡単なあく抜きの仕方がいくつかあります。

あく抜き:米ぬかを使う方法

あく抜きの方法として米ぬかを使う方法があり、わらびの自然な風味を引き出すことができます。

米ぬかをお米屋さんやスーパーで購入するか、米のとぎ汁を使用します。

米のとぎ汁を使う場合は、なるべく濃いとぎ汁を使うのがポイントです。

  1. わらびの根元を切り落とし、水洗いします。
  2. 鍋に米のとぎ汁を入れて火にかけ、沸騰したらわらびを入れて中〜弱火で10分ほど茹でます。
  3. わらびが全部浸かるように落としぶたなどをかぶせ、そのまま一晩おきます。
  4. わらびを再度沸騰したお湯で茹でこぼします。
  5. 水に浸し、何度か水を替えて水が透明になったら完了です。

重曹なしで小麦粉と塩を使う方法

もう一つの重曹なしで簡単にできるあく抜きの仕方は、小麦粉と塩を使う方法です。

この方法はアクが小麦粉に吸着されるため、比較的短時間であく抜きが完了する点がメリットです。

  1. 鍋に水、小麦粉、塩を入れてよく混ぜ、中火で熱して煮立たせます(水1Lに対し小麦粉大さじ4、塩小さじ2が目安)。
  2. わらびを加え、弱火で3分煮て火を止めます。
  3. 茹でたわらびをザルに上げ、冷水に10分程度さらします。
  4. 流水でよく洗い流せば完了です。

ただし、この重曹なしのあく抜きの仕方は、重曹を使った方法と比べて、アクが抜けきらない可能性もあるため、苦味が残る場合は追加で水にさらすなどの対応が必要になります。

わらびの下ごしらえ後の保存と絶品レシピ

  • あく抜き後の保存方法:冷蔵・冷凍のコツ
  • レシピ例1:定番の「おひたし」
  • レシピ例2:炒め物や煮物など応用レシピ
  • レシピ例3:独特の粘りを楽しむ「たたき」レシピ
  • わらび 下ごしらえをマスターして春の味覚を堪能しよう

あく抜き後の保存方法:冷蔵・冷凍のコツ

わらび 下ごしらえ

わらびの下ごしらえを終えた後は、適切に保存方法を選ぶことで、美味しさを長持ちさせることができます。

基本的な保存方法として、冷蔵保存と冷凍保存のコツをご紹介します。

冷蔵保存方法

あく抜きを終えたわらびは、通常2~3日で使い切るのが基本です。

すぐに調理しない場合の保存方法は、あく抜きを終えて水につけた状態のまま、冷蔵庫に入れるのがおすすめです。

毎日水を取り替えることで、約1週間ほど保存できます。

水の交換を怠ると、わらびが傷みやすくなるため、注意が必要です。

冷蔵保存方法は「水換え」が命
水を毎日取り替えることで、鮮度を保ち、約1週間の保存が可能になります。
調理する際は、再度きれいな水で洗い、20分くらい水にさらしてから使用すると良いでしょう。

冷凍保存方法

わらびを長期保存方法として残したい場合は、冷凍が最も手軽です。

冷凍保存なら、2~3ヶ月ほど保存が可能です。

冷凍する際は、あく抜きしたわらびの水気をきって、あらかじめ使いやすい長さに切ってから、ビニール袋や冷凍用ジッパー付き保存袋に入れて密封します。

小分けにしておくと、使うときに簡単で便利です。

冷凍したわらびは、解凍せずに凍ったまま煮物や炒め物などの加熱調理に使うことができます。

なお、冷凍することで食感はやや柔らかくなるため、食感を重視する料理よりも、煮物などに向いています。

レシピ例1:定番の「おひたし」

わらび 下ごしらえ

わらびを最もシンプルに味わえるのが、定番のおひたしです。

あく抜きを丁寧に行ったわらび本来の風味と、独特のぬめり、コリコリとした食感を堪能できます。

おひたしにする場合は、あく抜きしたわらびを約5~6cmの食べやすい長さに切って器に盛ります。

醤油をそのままかけて食べるのが基本ですが、より風味を豊かにするレシピとしては、おろししょうがや削り節を添える方法があります。

鰹節の風味と醤油の旨味が、わらびとよく合います。

醤油の代わりにめんつゆを使うと、より手軽に美味しくいただけます。
また、本場山形では、一本漬けを豪快に切らずに盛り付けて、苦味のある頭から粘り気のある胴まで丸ごと味わう食べ方もあるとされています。

レシピ例2:炒め物や煮物など応用レシピ

わらびは、おひたし以外にも、煮物や炒め物といった様々な応用レシピで美味しくいただけます。

あく抜きが完了していれば、下茹での必要がないため、調理工程も簡単です。

わらびの煮物レシピ

わらびの煮物は、家庭の味として人気が高いレシピです。

あく抜きしたわらびを適当な長さに切り、少量の油をひいた鍋で軽く炒めます。

その後、だし汁1カップと酒、砂糖、しょうゆを各大さじ1ずつ加えて、煮詰めるだけです。

油揚げやこんにゃくを入れても良く合い、具材に味が染み込んでご飯のおかずになります。

ただし、煮込みすぎるとわらびが溶けてしまう可能性があるため、サッと火を通すくらいにするのが美味しく仕上げるコツです。

わらびの炊き込みごはんレシピ

わらびを使った炊き込みごはんは、春の香りを楽しめるレシピです。

あく抜きしたわらびのほか、にんじん、油揚げなど好みの具材を加えて炊飯器で炊き上げます。

具材と調味料(酒、醤油、みりん、顆粒だしなど)を合わせ、通常の水加減で炊飯します。

わらびだけのシンプルな炊き込みごはんにしても、素朴で美味しい味わいが楽しめます。

レシピとしてのポイントは、わらびを冷凍保存していた場合は、解凍せずにそのまま使用できる点です。

レシピ例3:独特の粘りを楽しむ「たたき」レシピ

わらび 下ごしらえ

あまり知られていないかもしれませんが、わらびの独特のぬめりや粘りを最大限に活かしたレシピに「たたき」があります。

これはわらびの下ごしらえが成功した証である粘りを楽しむ料理です。

たたきの作り方は非常に簡単です。適当な長さに切ったあく抜き済みまたは醤油漬けのわらびを、包丁で細かく刻みます。ここにおろし生姜や山椒などを少々加え、包丁の背でたたいて粘りを出します。

食感がほど良く残るくらいにたたくのが目安です。

本来は味噌で味付けをするものですが、わらびの醤油漬けを使うと手軽に作れます。

完成した「たたき」は、白いご飯や冷たいそばにかけて食べるのがおすすめです。

わらびの香りと、とろっとした喉越しが楽しめる絶品のレシピです。

失敗しないわらびの下ごしらえガイド!を総括

わらびの下ごしらえは、安全に美味しく春の味覚を堪能するための非常に重要なプロセスです。

重曹やアク抜き用灰を使う確実なあく抜きの仕方をマスターすれば、手間を恐れることなく、いつでもわらび料理を楽しめるようになります。

この記事のポイントをまとめます。

  • わらびはプタキロサイドという天然毒を含むためあく抜きしないと安全性が損なわれる
  • 安全性を高めるにはあく抜きで穂先を取ることが推奨
  • わらび・ぜんまい・こごみの中でわらびは特にあく抜きが必須だがこごみは不要
  • あく抜きの仕方の基本はアルカリ性物質(重曹やアク抜き 灰)と熱湯を使うこと
  • 重曹を使ったあく抜きの仕方は分量が明確で簡単に成功しやすい
  • 重曹の目安は水1Lに対し小さじ1程度で多すぎるとわらびが柔らかくなる
  • アク抜き用の灰は重曹より風味良く仕上がる
  • あく抜きに米ぬかや小麦粉と塩を使う重曹なしの方法もある
  • 小麦粉と塩を使った方法は短時間で簡単だがアクが残りやすい
  • あく抜きの目安は一晩(約8時間以上)おき水が透明になるまで水にさらすこと
  • あく抜き成功の目安はわらびの切り口にぬめり(粘り)が出ていること
  • 保存方法として冷蔵は毎日水を取り替えれば約1週間程度保存できる
  • 保存方法として冷凍は水気を切って使いやすい長さにカットして密封すれば2〜3ヶ月保存できる
  • レシピを調理する際あく抜きが完了していれば基本的に下茹では必要ない