美味しい里芋の豚汁を作るための下ごしらえは、少し手間がかかると感じていませんか。実は、里芋の下ごしらえにはいくつかのポイントがあり、それを知るだけで調理がぐっと楽になります。
この記事では、里芋のぬめり取りや丁寧なアク抜き、さらにはかゆみの原因となるシュウ酸カルシウムへの対処法まで、里芋の豚汁の下ごしらえに関する全てを解説します。
また、忙しい日に便利なレンジを使った皮むきテクニックや、下ごしらえなしで調理する場合の注意点も紹介します。
基本的な里芋の切り方から、里芋の味噌汁との下ごしらえの違い、適切な里芋の保存方法である冷凍テクニックまで網羅。
この記事を読めば、あなたも美味しい豚汁のレシピをマスターできるはずです。
- 里芋の正しい下ごしらえの手順がわかる
- ぬめりやかゆみといった悩みを解決できる
- レンジを使った時短テクニックが身につく
- 冷凍保存や美味しい豚汁レシピも学べる
里芋の豚汁は下ごしらえが美味しさの鍵

- 基本となる里芋の下ごしらえ手順
- 手がかゆくなるシュウ酸カルシウムとは
- 簡単な皮むきはレンジで時短しよう
- 下茹ででぬめりを取る方法とコツ
- 丁寧なアク抜きで上品な味わいに
- 煮崩れしにくい里芋の切り方の基本
基本となる里芋の下ごしらえ手順
美味しい里芋の豚汁を作るための第一歩は、丁寧な下ごしらえにあります。
少しの手間をかけることで、里芋本来の美味しさを最大限に引き出し、雑味のないクリアな味わいの豚汁に仕上がります。ここでは、基本となる一連の手順を分かりやすく解説します。
1. 土を洗い流し、しっかり乾かす
まず、泥付きの里芋はタワシなどを使って流水で丁寧にこすり洗いします。皮に残った土は雑味の原因になるため、きれいに落としましょう。
洗い終わったら、ザルにあげて自然に乾かすか、キッチンペーパーや清潔なふきんで水気を完全に拭き取ってください。
この「乾かす」工程が非常に重要です。里芋が濡れたままだと、ぬめりが出て包丁が滑りやすくなり、皮をむく際に危険が伴います。
ポイント
里芋を乾かすことで、皮むきが安全になるだけでなく、ぬめりの発生を抑える効果もあります。
2. 皮をむく
里芋が完全に乾いたら、包丁で皮をむいていきます。里芋の上下を少し切り落としてから、側面を縦方向にむくと作業しやすいです。
皮の近くには風味や栄養があると言われていますが、変色している部分や硬い筋がある場合は、少し厚めにむき取るようにしましょう。
3. 塩もみでぬめりを取る
皮をむいた里芋をボウルに入れ、塩(里芋2〜3個に対して小さじ1程度が目安)を振りかけ、手で優しく転がすように揉み込みます。
すると、里芋の表面からぬめり成分が浮き出てきます。この塩もみによって、余分なぬめりを取り除き、味が染み込みやすくなるのです。ぬめりが出てきたら、流水で塩とぬめりをしっかりと洗い流します。
塩もみは、ぬめりを取るだけでなく、里芋のアクを抜く効果も期待できます。一石二鳥の重要な工程ですね。
4. 必要に応じて下茹でする
塩もみだけでは取り除けないぬめりやアクが気になる場合や、より上品な仕上がりを目指す場合は、下茹でを行いましょう。
鍋に里芋と、かぶるくらいの水を入れて火にかけ、沸騰してから3〜5分ほど茹でます。
その後、ザルにあげて水気を切れば、下ごしらえは完了です。この後の工程については、後の見出しで詳しく解説します。
手がかゆくなるシュウ酸カルシウムとは

里芋の下ごしらえで多くの方が経験する悩みが、「手を触るとかゆくなる」という現象です。このかゆみの主な原因は、里芋に含まれる「シュウ酸カルシウム」という成分によるものとされています。
シュウ酸カルシウムは、肉眼では見えない針のような形状をした結晶です。
生の里芋の皮をむいたり切ったりする際に、この微細な結晶が皮膚に刺さることで、チクチクとした物理的な刺激となり、かゆみを引き起こすと考えられています。
特に、里芋のぬめりと混ざることで、結晶が皮膚に付着しやすくなります。
注意点
シュウ酸カルシウムは、えぐ味の原因ともなる成分です。下ごしらえで適切に取り除くことで、食味も向上します。
かゆみを防ぐための対策
幸いなことに、いくつか対策を講じることで、この不快なかゆみを大幅に軽減できます。調理前にぜひ試してみてください。
1. 手を乾燥させておく
前述の通り、里芋を扱う際は、手と里芋本体の水気をしっかり拭き取ることが基本です。水分があるとシュウ酸カルシウムの結晶が溶け出し、皮膚に広がりやすくなります。
2. 酢水や塩水で手を濡らす
調理を始める前に、手に食酢を薄めた水や塩水をなじませておくと、かゆみを予防する効果が期待できます。酸や塩分が、かゆみの原因に作用すると言われています。
3. 調理用手袋を着用する
最も確実で簡単な方法が、ビニール製やゴム製の調理用手袋を着用することです。物理的に結晶が皮膚に触れるのを防ぐため、かゆみを完全にシャットアウトできます。肌が敏感な方には特におすすめの方法です。
かゆくなってしまった場合の対処法
もし、すでにかゆくなってしまった場合は、慌てずに以下の方法を試してみましょう。
まず、流水で手をよく洗い流します。その後、食酢を薄めた水や重曹を溶かした水で洗うと、かゆみが和らぐことがあります。
これは、pHの変化が刺激物質に影響を与えるためと考えられています。ただし、症状がひどい場合や、肌に異常を感じた際は、すぐに作業を中断し、皮膚科専門医に相談してください。
シュウ酸カルシウムは加熱すると分解される性質があるので、調理後の豚汁を食べてもかゆくなることはほとんどありません。下ごしらえの時だけの辛抱ですね!
簡単な皮むきはレンジで時短しよう

里芋の下ごしらえで最も時間がかかり、面倒に感じられるのが「皮むき」ではないでしょうか。ぬめりで滑りやすく、包丁の扱いが難しいと感じる方も多いはずです。
そこで、電子レンジを活用した画期的な方法をご紹介します。このテクニックを使えば、驚くほど簡単かつ安全に皮がつるんとむけるようになります。
レンジ活用のメリット
- 時短:茹でるよりも早く加熱できる
- 安全:熱でぬめりが固まり、包丁を使わずにむける
- 手軽:鍋を出す必要がなく、後片付けも楽
レンジを使った皮むきの具体的な手順
手順1:里芋を洗って切り込みを入れる
まず、里芋の泥を流水でしっかりと洗い流します。
次に、キッチンペーパーで水気を拭き取り、包丁で里芋の胴回り(真ん中あたり)にぐるりと一周、深さ2〜3mm程度の切り込みを入れます。この切り込みが、後で皮をむく際の起点となります。
手順2:耐熱皿に乗せて加熱する
切り込みを入れた里芋を耐熱皿に並べ、大さじ1程度の水を振りかけます。その後、ふんわりとラップをして、電子レンジ(600W)で加熱します。
加熱時間の目安は、里芋2〜3個で3〜4分程度です。竹串などを刺してみて、スッと通るくらいの柔らかさになればOKです。硬い場合は、30秒ずつ追加で加熱してください。
手順3:皮をむく
加熱が終わったら、やけどに注意しながら熱いうちに取り出します。
キッチンペーパーや清潔なふきんで里芋を包むように持ち、切り込み部分から両端に向かって皮を押し出すようにすると、まるで栗の渋皮をむくように、つるんときれいに皮がむけます。
注意点
加熱直後の里芋は非常に熱くなっています。必ずふきんなどを使って直接手で触らないようにし、やけどには十分注意してください。
この方法は、皮むきと同時に下茹でも兼ねることができるので、一石二鳥の時短テクニックです。忙しい日の豚汁作りには欠かせませんね!
下茹ででぬめりを取る方法とコツ
里芋特有の「ぬめり」は、その成分が旨味や栄養の一部である一方で、豚汁のような汁物に入れると、汁が濁ったり、独特のとろみがつきすぎたりすることがあります。
すっきりとした上品な味わいの豚汁に仕上げたい場合は、下茹でをして余分なぬめりを取り除くのがおすすめです。
下茹でには、ぬめりを取る以外にも以下のようなメリットがあります。
- アクやえぐ味を取り除き、味がクリアになる
- 煮込み時間を短縮でき、煮崩れを防ぎやすくなる
- 味が染み込みやすくなる
基本的な下茹での方法
皮をむいて適当な大きさに切った里芋を鍋に入れ、たっぷりの水を注ぎます。この時、米のとぎ汁があれば、水のかわりに使うと、里芋の白さが際立ち、よりアクが抜けやすくなります。
鍋を火にかけ、沸騰したら火を少し弱め、3〜5分ほど茹でます。茹で上がったらザルにあげ、流水で表面のぬめりを優しく洗い流せば完了です。
豆知識:米のとぎ汁がない場合
米のとぎ汁がない場合は、水にひとつまみの生米を加えて茹でることで、同様の効果が得られます。
塩や酢を使った応用テクニック
より効果的にぬめりを取りたい場合は、塩や酢を活用する方法もあります。
塩茹で
皮をむいた里芋を塩もみした後、そのまま茹でる方法です。浸透圧の働きで、ぬめり成分が外に出やすくなります。
酢茹で
茹でる水に少量の酢(水1リットルに対し大さじ1程度)を加える方法です。
酢にはぬめりを分解し、固める作用があるため、すっきりと仕上がります。また、里芋の変色を防ぐ効果も期待できます。
ぬめりを活かす選択肢も
一方で、里芋のねっとり、とろりとした食感が好きという方もいるでしょう。
その場合は、下茹でをせずに、皮をむいて塩もみでぬめりを軽く落とす程度にし、他の具材と一緒に炒めてから煮込む方法もあります。
これにより、里芋のぬめり成分が汁に溶け出し、自然なとろみがついた、より濃厚な味わいの豚汁を楽しむことができます。
どちらが良いかは好み次第ですので、色々試してお気に入りの方法を見つけてみてください。
丁寧なアク抜きで上品な味わいに

豚汁を美味しく作る上で、意外と見落とされがちなのが「アク抜き」の工程です。
特に、豚肉やごぼう、そして里芋といったアクの出やすい食材が多く入る豚汁では、この一手間が仕上がりの味を大きく左右します。
アクとは、食材に含まれる不要な成分(えぐ味、渋み、苦味など)が煮汁に溶け出したものです。これを放置しておくと、以下のようなデメリットが生じます。
- 味が濁る:雑味が出て、全体の風味が損なわれる
- 見た目が悪くなる:煮汁が黒ずんだり、泡が残ったりする
- 香りが悪くなる:食材特有の臭みが残ってしまう
丁寧なアク抜きを行うことで、これらの問題を解消し、すっきりと洗練された、素材の旨味が際立つ豚汁に仕上げることができます。
アク抜きのタイミングと方法
アクが最も出やすいのは、煮汁が沸騰し始めた直後です。鍋のフチに茶色や灰色の泡が集まってきたら、それがアクのサインです。
1. 沸騰したら火を弱める
アクは煮汁がグラグラと煮立っていると、鍋全体に散ってしまい、取り除きにくくなります。
沸騰したら一度火を弱火にし、煮立ちを落ち着かせましょう。こうすることで、アクが自然と中央やフチに集まってきます。
2. お玉やアク取り網で丁寧にすくう
集まってきたアクを、お玉や専用のアク取り網を使って、煮汁の表面をなでるようにして静かにすくい取ります。
このとき、煮汁や旨味成分まで一緒にすくい過ぎないように注意するのがポイントです。
ポイント
アクは一度で完全に取り切ろうとせず、煮込みの途中で何度か出てくるアクをその都度すくうようにすると、よりクリアな味わいになります。
特に、豚肉を炒めた後、水やだし汁を加えて煮始めたタイミングが一番アクが出ます。この最初のアクをしっかり取ることが、美味しさへの近道ですよ。
里芋自体のアクは、前述した塩もみや下茹での工程である程度抜けていますが、他の具材からもアクは出ます。
この丁寧なアク抜きこそが、いつもの豚汁をワンランク上の味わいへと引き上げてくれる隠し味なのです。
煮崩れしにくい里芋の切り方の基本

せっかく豚汁に里芋を入れたのに、煮込んでいるうちに形が崩れて溶けてしまった、という経験はありませんか。
里芋は煮込むと柔らかくなりやすい性質があるため、切り方を少し工夫するだけで、煮崩れを効果的に防ぐことができます。
ここでは、豚汁におすすめの、煮崩れしにくく、かつ食べ応えのある里芋の切り方をご紹介します。
大きめの乱切り・一口大
最もシンプルで、豚汁に最適な切り方が「大きめの一口大」に切ることです。
小さく切るほど表面積が大きくなり、火が通りやすく崩れやすくなるため、ゴロッとした存在感を残すように大きめにカットするのがポイントです。
不規則な形になる乱切りにすると、断面が増えて味が染み込みやすくなるというメリットもあります。
手順の目安
- 皮をむいた里芋を縦半分に切る。
- 切り口を下にして安定させ、斜めに包丁を入れていく。
- 里芋を90度ずつ回転させながら、同じように斜めに切っていく。
面取りでさらに煮崩れ防止
より丁寧に仕上げたい場合は、「面取り」というひと手間を加えるのがおすすめです。面取りとは、切った里芋の角を包丁で薄く削ぎ落とす作業のことです。
角張った部分は鍋の中で他の具材とぶつかりやすく、そこから崩れていくことが多いため、あらかじめ角を滑らかにしておくことで、煮崩れを格段に防ぐことができます。
少し手間はかかりますが、長時間煮込む料理や、おもてなし用の豚汁を作る際には、ぜひ試してみてください。仕上がりの美しさが全く違いますよ。
六方むき
見た目を美しく仕上げたい場合に用いられるのが「六方むき」です。里芋の皮を六角形になるようにむき、形を整える方法です。
角がなくなるため面取りと同様の効果があり、煮崩れしにくくなります。おせち料理などで見られる伝統的な切り方ですが、豚汁に入れると料亭のような上品な雰囲気を演出できます。
注意点
どの切り方を選ぶにせよ、里芋の大きさはある程度揃えるようにしましょう。大きさがバラバラだと火の通りにムラができてしまい、小さいものだけが煮崩れる原因になります。
里芋の豚汁の下ごしらえに関する疑問と応用

- 下ごしらえなしで豚汁は作れる?
- 里芋の味噌汁での下ごしらえとの違い
- 里芋の保存方法は冷凍がおすすめ
- 具沢山!里芋入り豚汁のおすすめレシピ
- 美味しい里芋の豚汁は下ごしらえから
下ごしらえなしで豚汁は作れる?
ここまで丁寧な下ごしらえの方法を紹介してきましたが、「忙しい時は、下ごしらえなしで手軽に作りたい」と思う方もいるでしょう。
結論から言うと、里芋を下ごしらえなしで豚汁に入れることは可能です。しかし、それにはメリットとデメリットの両方が存在します。
下ごしらえなしのメリット
最大のメリットは、何と言っても「手軽さと時短」です。皮をむいて切るだけで済むため、調理時間を大幅に短縮できます。
また、下茹でをしないことで、里芋本来の風味や、ぬめり成分が持つ独特の旨味ととろみを最大限に活かすことができます。
ねっとりとした食感が好きな方にとっては、むしろ下ごしらえをしない方が好ましい場合もあります。
下ごしらえなしのデメリット
一方で、下ごしらえを省略することにはいくつかのデメリットも伴います。これらを理解した上で、調理法を選択することが重要です。
主なデメリット
- 汁の濁り:里芋から出るぬめりやアクで、煮汁が濁りやすくなります。
- 雑味の発生:えぐ味や土臭さが残り、全体の味がぼやけてしまうことがあります。
- 味が染みにくい:ぬめりが表面を覆うため、他の具材や出汁の味が里芋に染み込みにくくなります。
- 火の通りが悪くなる可能性:ぬめりが原因で、煮汁の対流が妨げられ、火の通りにムラが出ることがあります。
最近の里芋は品種改良が進み、昔ほどアクやぬめりが強くないものも増えているようです。そのため、下ごしらえなしでも美味しく作れるケースは増えていますね。
結論:何を優先するかで判断しよう
結局のところ、下ごしらえをするかどうかは、何を優先するかによります。
- 手軽さと里芋本来の濃厚な味わいを求めるなら → 下ごしらえなし(ただし、アクは丁寧に取り除く)
- すっきりとした上品な味わいと美しい仕上がりを求めるなら → 丁寧な下ごしらえ(塩もみ・下茹で)
例えば、「時間がない平日の夕食」と「ゆっくり作る休日のごちそう」で、作り方を変えてみるのも一つの手です。
それぞれの方法に良さがありますので、ご自身の好みや状況に合わせて、最適な選択をしてみてください。
味噌汁の場合の里芋の下ごしらえと豚汁との違い

里芋は豚汁だけでなく、シンプルな味噌汁の具としても人気があります。どちらも同じ「汁物」ですが、実は豚汁と味噌汁とでは、里芋の下ごしらえに対する考え方が少し異なります。
その違いを知ることで、それぞれの料理をより美味しく作ることができます。
一番の違いは、「他の具材とのバランス」と「目指す味わいの方向性」です。
豚汁 | 味噌汁 | |
---|---|---|
特徴 | 豚肉や多くの根菜が入り、複雑で濃厚な旨味が特徴。 | 具材が比較的少なく、出汁と味噌の風味をシンプルに味わう。 |
里芋の役割 | 数ある具材の一つとして、食感と満足感を加える。 | 主役級の具材として、里芋そのものの味ととろみが重要になる。 |
下ごしらえの推奨 | 丁寧な下ごしらえ(下茹で等)がおすすめ。他の具材の味を邪魔しないよう、ぬめりやアクをしっかり取り除くことで、全体の味がまとまりやすくなる。 | 下ごしらえは軽め(塩もみ程度)でもOK。里芋のぬめりを少し残すことで、汁に自然なとろみがつき、味わい深くなる。 |
豚汁の場合:全体の調和を重視
豚汁は、豚肉の脂のコク、ごぼうや大根の風味など、様々な食材の旨味が溶け合った、いわば「食べるスープ」です。
ここで里芋のぬめりやアクが強すぎると、全体の味のバランスを崩し、雑味の原因になりかねません。
そのため、下茹でなどを行って里芋の個性を少しマイルドにし、全体の調和を図るのが美味しく作るコツです。
味噌汁の場合:里芋の個性を活かす
一方、里芋と油揚げ、ねぎ、といったシンプルな構成の味噌汁では、里芋の存在感が際立ちます。
このような場合は、里芋のぬめりを「とろみ」として積極的に活かすことで、汁に一体感が生まれ、満足感のある一杯になります。
下ごしらえは塩もみで表面のぬめりを軽く取る程度に留め、里芋本来の持ち味を楽しむのが良いでしょう。
もちろん、これも好みの問題なので一概には言えません。あっさりした味噌汁が好きなら下茹でをしても良いですし、濃厚な豚汁が好きならぬめりを残しても美味しいです。
基本の考え方として参考にしてみてください。
里芋の保存方法は冷凍がおすすめ

里芋は常温保存が基本ですが、一度に使い切れずに余らせてしまうことも多いのではないでしょうか。
実は、里芋は冷凍保存に非常に適した野菜で、正しく冷凍すれば風味や食感を損なうことなく、約1ヶ月もの長期保存が可能になります。
冷凍保存には、長期保存以外にもたくさんのメリットがあります。
里芋を冷凍するメリット
- 調理の時短:下処理を済ませて冷凍しておけば、使いたい時にすぐ調理できる。
- 味が染み込みやすくなる:冷凍によって里芋の細胞壁が壊れ、解凍時に味が染み込みやすくなる。
- 無駄なく使い切れる:少量ずつ使えるので、食材ロスを防げる。
ここでは、用途に合わせた2パターンの冷凍方法をご紹介します。
パターン1:生のまま皮付きで冷凍
下処理をする時間がない時に便利なのが、生のまま丸ごと冷凍する方法です。最も手軽で簡単です。
手順:
- 里芋をタワシなどできれいに洗い、泥を完全に落とす。
- キッチンペーパーで水気をしっかりと拭き取る。
- 1個ずつラップでぴったりと包む。
- 冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍庫で保存する。
使い方:
使う際は、凍ったまま電子レンジで加熱します。すると、レンジで皮をむく方法と同様に、簡単につるんと皮がむけます。その後、豚汁や煮物などに使いましょう。
パターン2:加熱して皮をむいてから冷凍
調理の時短効果を最大限に高めたいなら、この方法がおすすめです。使いたい時に凍ったまま鍋に入れるだけなので、非常に便利です。
手順:
- 里芋を洗い、下茹で、または電子レンジで加熱して柔らかくする。
- 熱いうちに皮をむき、豚汁用に一口大など、使いやすい大きさにカットする。
- 粗熱が取れたら、キッチンペーパーで表面の水分を丁寧に拭き取る。
- 冷凍用保存袋に平らになるように入れ、空気を抜いて冷凍庫で保存する。
使い方:
解凍は不要です。凍ったままの状態で、煮汁や炒め物に直接加えて調理してください。
冷凍保存のコツ
どちらの方法でも、水気をしっかり拭き取ることが霜付きを防ぎ、品質を保つ上で重要です。また、金属製のバットに乗せて冷凍すると、急速冷凍されて鮮度が保たれやすくなります。
具沢山!里芋入り豚汁のおすすめレシピ

これまでに学んだ下ごしらえのコツを活かして、実際に美味しい里芋入りの豚汁を作ってみましょう。
ここでは、野菜の旨味がたっぷり溶け出した、基本の具沢山豚汁のレシピをご紹介します。
美味しさのポイント
具材を煮込む前に油で一度炒めることで、野菜の甘みと豚肉のコクが引き出され、味に深みが出ます。
材料(作りやすい分量:約4人分)
豚バラ薄切り肉 | 150g |
---|---|
里芋 | 3〜4個(約200g) |
大根 | 1/4本(約200g) |
にんじん | 1/2本(約80g) |
ごぼう | 1/2本(約80g) |
こんにゃく | 1/2枚(約125g) |
長ねぎ | 1/2本 |
ごま油(またはサラダ油) | 大さじ1 |
だし汁(または水) | 800ml |
味噌 | 大さじ3〜4 |
お好みで七味唐辛子 | 適量 |
作り方
1. 具材の下ごしらえ
・豚肉は3cm幅に切ります。
・里芋は皮をむいて一口大に切り、塩もみをしてぬめりを取った後、水にさらして水気を切ります。(必要であれば下茹でをします)
・大根、にんじんは皮をむき、厚めのいちょう切りにします。
・ごぼうはささがきにして水にさらし、アクを抜きます。
・こんにゃくはスプーンで一口大にちぎり、下茹でして臭みを取ります。
・長ねぎは斜め薄切りにします。
2. 炒める
鍋にごま油を熱し、豚肉を中火で炒めます。肉の色が変わったら、長ねぎ以外の野菜とこんにゃくを全て加え、油が全体に回るまでさらに炒め合わせます。
3. 煮込む
鍋にだし汁を加え、煮立たせます。沸騰したら弱火にし、アクを丁寧に取り除きながら、蓋をして野菜が柔らかくなるまで15〜20分ほど煮込みます。
4. 仕上げ
野菜が柔らかくなったら、一度火を止め、味噌を煮汁で溶きながら加えます。再び弱火にかけ、長ねぎを加えてひと煮立ちさせたら完成です。
煮立たせすぎると味噌の風味が飛んでしまうので注意しましょう。お椀に盛り付け、お好みで七味唐辛子を振ってお召し上がりください。
きのこ類(しめじ、舞茸など)や油揚げを加えると、さらに旨味が増して美味しくなりますよ。ぜひ、ご家庭の味を見つけてみてください!
里芋の豚汁、下ごしらえのコツを総括
この記事のポイントをまとめますリスト。
- 豚汁の美味しさは丁寧な里芋の下ごしらえで決まる
- 基本の手順は「洗浄・乾燥・皮むき・塩もみ」
- 手のかゆみはシュウ酸カルシウムが原因で対策が可能
- レンジを使えば皮むきと下茹でが同時にできて時短になる
- 下茹ではぬめりやアクを取り上品な味わいにするため
- 米のとぎ汁や酢を使うとより効果的に下処理できる
- ぬめりを活かしてとろみのある豚汁にする選択肢もある
- 煮込み始めのアクを丁寧に取ると味がクリアになる
- 里芋は大きめに切り面取りをすると煮崩れしにくい
- 下ごしらえなしでも作れるが雑味が出やすいデメリットも
- 味噌汁では里芋の個性を活かし豚汁では全体の調和を重視する
- 里芋は冷凍保存に適しており調理の時短にもつながる
- 生のままでも加熱後でも冷凍保存が可能
- 冷凍した里芋は味が染み込みやすくなるメリットがある
- 美味しい豚汁のレシピは具材を一度炒めるのがコツ