こんにちは、「下ごしらえ.com」のゆたりんです。
朝晩の空気がひんやりしてくると、無性に恋しくなるのが湯気立つおでんですよね。お鍋いっぱいに仕込んでおけば、帰宅して温め直すだけで家族みんなが笑顔になってくれる、忙しい平日の救世主でもあります。
けれども、いざお肉の具材を選ぼうとしたとき、思わずスーパーの精肉売り場で立ち止まってしまうことはありませんか。
おでんの定番といえば牛すじですが、近所のスーパーでいつも手に入るとは限りませんし、じっくり煮込む下茹でやアク取りに何時間もかける余裕は、平日の夕方にはなかなか取れないのが本音ですよね。
毎日の食卓では、もっと手軽で、短時間の煮込みでも出汁が濁らず、家族が奪い合うほど美味しくなる「牛すじ以外のお肉」をたっぷり活用しています。
お肉の部位ごとの特徴や脂の融点、ちょっとした下処理のツボさえ押さえておけば、いつものおでんが料亭のような澄んだお出汁のまま、ボリューム満点のごちそうに生まれ変わるのです。
- 牛すじの代わりに使えるお肉の種類と旨味の特徴
- 煮汁を濁らせず具材を柔らかく保つプロの下ごしらえ
- お肉から出る出汁を活かした絶品おでんスープの作り方
- 大人も子どもも大満足できるボリューム満点の具材選び
おでんのお肉で牛すじ以外が選ばれる理由
おでん種として不動の人気を誇る牛すじですが、家庭で一から仕込もうとすると、意外なハードルの高さに直面することが少なくありません。
日々の献立作りを少しでもラクに、そして美味しく進化させるために、まずはなぜ今「牛すじ以外のお肉」が多くのご家庭で選ばれているのか、その背景を紐解いてみましょう。
牛すじの下茹でや仕込みにかかる時間と手間の壁
牛すじをおでんに入れて美味しく食べるためには、徹底的な下処理が欠かせません。
生の牛すじには独特の強い生臭さや過剰な脂、硬い結合組織が含まれているため、たっぷりの熱湯で数回茹でこぼし、流水で細かな汚れを洗い流し、さらに生姜や長ネギの青い部分と一緒に1時間から2時間近くコトコト弱火で煮込む必要があります。
フルタイムで働いて帰宅したあと、あるいは子どものお世話に追われる夕方に、この工程を一からこなすのは至難の業ですよね。煮込みが足りないとゴムのように硬くて噛み切れませんし、下茹でを怠るとおでん鍋全体がギトギトした脂とアクで覆われてしまいます。
時間と気力に余裕がある休日ならともかく、日常の家庭料理としては少々ハードルが高すぎるのが現実かなと思います。
価格の高騰や近所のスーパーでの入手難易度
以前は比較的安価な大衆食材だった牛すじですが、近年は需要の高まりや加工コストの上昇などにより、精肉コーナーでも目を見張るほど高価な食材になってきました。家族4人分のおでんに満足できるだけの量を揃えようとすると、それだけでお肉の予算が跳ね上がってしまうことも珍しくありません。
加えて、小規模なスーパーやドラッグストアの食品売り場では、生の牛すじ自体を取り扱っていない日も多く見受けられます。
下処理済みのボイル牛すじやすじ串も便利ですが、内容量の割に割高だったり、独特の加工臭が気になったりすることもありますよね。手軽に買えて家計に優しいお肉へと目が向くのは、ごく自然な流れと言えます。
子どもや家族の好みに合わせた柔らかいお肉の需要
牛すじ特有のクニュッとしたコラーゲンの食感や噛み応えは、大人にとってはお酒の進むたまらない魅力ですが、小さなお子さんやご年配の家族にとっては「硬くて噛み切れない」「飲み込みにくい」と不評を買ってしまう場面も少なくありません。
せっかく時間をかけて仕込んだのに、お皿の隅に残されてしまうとちょっぴり切ない気持ちになりますよね。
家族みんなが同じお鍋を囲んで「お肉柔らかくて美味しい!」と笑顔で食べてくれることこそ、おうちごはんの一番の幸せです。スプーンやお箸でほろっと崩れる鶏肉や、ふんわりジューシーなつみれなど、誰にとっても食べやすい柔らかいお肉具材が今まさに求められています。
鶏肉はおでんに深い旨味とコクをもたらす定番
牛すじの代打として、真っ先におすすめしたいのが「鶏肉」です。鶏の骨や皮、赤身から溶け出す出汁は、鰹と昆布の和風出汁と驚くほど相性が良く、煮汁にとろけるような上品なコクをプラスしてくれます。部位ごとの持ち味を活かした使い分けを見ていきましょう。
手羽元と手羽先は骨から極上の出汁が溶け出す
おでんの出汁をワンランク上の味わいに引き上げたいなら、手羽元や手羽先といった骨付き肉がダントツでおすすめです。骨の周りや関節部分には良質なコラーゲンが豊富に含まれており、じっくり加熱されることでゼラチン質へと変化し、つゆに奥深いとろみと旨味を与えてくれます。
手羽先は皮の面積が広いためぷるぷるとした皮の甘みが際立ち、手羽元はしっかりとした肉質で食べ応えが抜群です。
お鍋の底で静かに煮含めておくだけで、お出汁全体が鶏白湯のようなふくよかさを帯びて、大根やこんにゃくの芯までじんわりと染み渡っていきます。骨離れも良くなるため、お子さんでも骨からするりと身を外して食べられますよ。
鶏もも肉はジューシーで食べ応え抜群のごちそう種
家族から「今日はお肉をガッツリ食べたい!」とリクエストされたときは、大ぶりにカットした鶏もも肉の出番です。適度な脂身と弾力のある赤身がバランスよく調和しており、おでんのつゆをたっぷり吸い込んだジューシーな一口は、まさに冬のごちそうそのものと言えます。
煮込み料理に鶏もも肉を使うとパサついてしまう心配をされる方もいますが、弱火を保ってコトコト煮込めば、しっとりとした柔らかさを長く保ってくれます。一切れをやや大きめの角切りにして串に刺せば、まるでおでん専門店の串肉のような特別感も演出できますね。
◆ワンポイントアドバイス
鶏もも肉をおでんに入れるときは、皮と身の間にある黄色い余分な脂肪を包丁の先で丁寧に取り除いておきましょう。これだけで煮汁に嫌な脂っぽさが浮かばず、鶏肉本来の澄んだ旨味だけをお出汁にしっかりと移すことができますよ。
鶏むね肉は下処理次第で驚くほどしっとり仕上がる
家計の味方でありヘルシーな鶏むね肉ですが、「おでんで煮込むとカチカチに硬くなってパサつくのでは?」と敬遠されがちですよね。けれども、お肉の繊維を断ち切るようにそぎ切りにし、水分を閉じ込める保水の下ごしらえを施すことで、驚くほどぷるぷるの食感に仕上がります。
脂質が極めて少ない部位だからこそ、あっさりとした関西風の澄んだお出汁との相性は抜群です。夜遅くに帰宅した家族の胃腸にも優しく、カロリーを気にせず罪悪感なしでお肉のボリュームを楽しめる優秀な具材となってくれます。
ふんわり鶏つくねは野菜もたっぷり練り込める
ひき肉を使って手作りする鶏つくねは、形も具材も自由自在にアレンジできる万能のおでん種です。軟骨の粗みじん切りを混ぜてコリコリした食感を加えたり、刻んだ大葉や生姜を効かせて爽やかな大人の味に仕立てたりと、家庭ならではのこだわりを詰め込めます。
細かく刻んだ人参や蓮根、玉ねぎなどをたっぷり練り込めば、野菜が苦手なお子さんでも美味しく栄養を摂取できますよね。スプーンで丸めてそのまま煮汁に落としても良いですし、あらかじめ軽く茹でてから竹串に刺しておけば、お鍋の中で崩れる心配もありません。
豚肉を使ったボリューム満点のおでんアレンジ
次にご紹介したいのが、濃厚な脂の甘みとガツンとした満足感がたまらない「豚肉」です。豚肉特有の旨味成分であるイノシン酸は、昆布のグルタミン酸と合わさることで爆発的な旨味の相乗効果を生み出し、おでん全体の味をグッと底上げしてくれます。
豚バラブロックで角煮風のとろけるごちそうおでん
贅沢なおでんを楽しみたい日には、豚バラ肉のブロックを大きめにカットして投入してみましょう。時間をかけてじっくり煮込んだ豚バラ肉は、脂身がとろけるように甘く、赤身はほろほろと崩れる極上の「おでん風角煮」へと進化します。
一般的な豚の角煮は濃口醤油とみりん、お砂糖で甘辛く煮詰めますが、おでんの繊細なお出汁で煮含める豚バラ肉は、脂のくどさを感じさせない上品な後味が魅力です。大根や厚揚げと一緒に口へ運べば、豚肉の豊かなコクが染み渡って箸が止まらなくなります。
豚スペアリブは豪快な骨付き肉の旨味を堪能できる
見た目のインパクトと圧倒的な出汁の出やすさを兼ね備えているのが、骨付きの豚スペアリブです。洋風の煮込みやバーベキューのイメージが強い食材ですが、実は和風の鰹出汁や昆布出汁とも劇的な調和を見せてくれます。
骨から溶け出す濃厚なエキスが鍋全体に行き渡り、いつものおでんつゆが驚くほど力強いスープへと変貌します。食べ盛りの子どもたちや男性陣の心を一掴みにする存在感があり、食卓のメインディッシュとして堂々たる輝きを放ってくれますね。
豚こま切れ肉を薄揚げに詰めた巾着で旨味を閉じ込める
冷蔵庫に常備してあるリーズナブルな豚こま切れ肉や豚バラ薄切り肉も、ひと工夫加えるだけで立派なおでん種に早変わりします。細かく刻んだ豚肉を、白滝やネギ、きのこなどと一緒に油揚げの中にぎっしり詰めて、爪楊枝やかんぴょうで口を閉じた「肉巾着」です。
お肉から滲み出たジューシーな脂と旨味が巾着の外へ逃げ出さず、内側の具材とお揚げの繊維の中にすべて閉じ込められます。がぶりと一口かじりついた瞬間、熱々のお出汁とお肉の肉汁がジュワッと口いっぱいに広がる瞬間は、まさに至福の体験と言えるでしょう。
豚しゃぶ肉をロール巻きにしてさっぱり煮含める
豚肉の薄切り肉を使ったもう一つの絶品アイデアが、お野菜をくるくると巻き込んだロール巻きです。小松菜やインゲン、細切りにした人参やえのき茸を豚ロースや豚バラの薄切りで巻き、巻き終わりを爪楊枝で留めてお鍋に並べます。
薄切り肉は火通りが非常に早く、煮込み時間が短くてもお出汁の味がしっかり絡んでくれます。お肉のコクとお野菜のみずみずしさが同時に味わえるため、脂っこい料理が少し重たく感じる日でも、さっぱりと何本でも食べられてしまう軽やかさが嬉しいポイントです。
下ごしらえのプロ直伝!肉の臭みと濁りを防ぐ極意
おでんにお肉を入れる際、誰もが直面する最大の悩みが「煮汁が茶色く濁ってしまうこと」と「アクや脂のギトギト感」ですよね。
割烹や料亭のおでんがいつまでも澄んだ黄金色のつゆを保っているのは、煮込む前の下ごしらえに明確な科学的理由があるからです。ご家庭でも今すぐ実践できるプロの仕込み技術をお伝えします。
湯通しと冷水洗いで余分な脂とアクを完全に遮断する
お肉をおでん鍋に投入する前に、絶対に省いてはならない工程が「霜降り(湯通し)」です。生のままお肉をおでんつゆに入れてしまうと、表面に付着した血液や雑菌、酸化した表面の脂がお出汁全体に散らばり、取り返しのつかない濁りと生臭さの原因になってしまいます。
鍋にたっぷりのお湯を沸かし、お肉を数秒から数十秒ほどサッとくぐらせます。表面が白く変わったらすぐに氷水や冷水に落とし、表面に浮き出た茶色いアクや固まった余分な脂を手で優しく撫でるように洗い流しましょう。このひと手間をかけるだけで、仕上がりのつゆの透明度と雑味のなさに劇的な差が生まれます。
霜降り(下茹で)を成功させる基本手順
沸騰したお湯にお肉を入れ、表面全体が白っぽくなったらすぐに引き上げます。冷水の中で汚れや血合いを指の腹で丁寧に落とし、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ってからおでん鍋に入れましょう。
煮立てない火加減がお肉を柔らかく保つ科学的理由
おでんを煮込む際、グラグラと激しく煮立ててしまうのは厳禁です。お肉の主成分であるタンパク質は、68度から70度を超えると急激に収縮を始め、内部の水分を外へ絞り出して硬くなってしまう性質を持っています。
激しい対流は具材同士をぶつけ合わせて煮崩れを起こし、お肉の繊維をボロボロにしてつゆを濁らせる元凶にもなります。
おでんを煮るときの理想的な火加減は、煮汁の表面がかすかに揺れる程度の「極弱火」です。鍋底から小さな気泡が時折ポツリポツリと浮き上がってくる状態を保ち、蓋を少しずらして余分な熱と蒸気を逃がしながら、時間をかけてじっくり熱を伝えていきましょう。
これによってお肉の水分が保たれ、箸でスッと切れるほどのしっとり感が生まれます。
冷める工程を活用して中心まで味をしみこませる
「おでんは2日目が一番美味しい」とよく言われますが、これには明確な理由があります。食材の細胞は、加熱されて膨張しているときではなく、火を止めて温度が下がっていく冷却のプロセスにおいて、周囲の煮汁をギュッと内部へ吸い込む性質があるのです。
朝のうちにお肉や大根を極弱火で30分から40分ほど煮込んだら、一度完全に火を止めて鍋ごと室温で冷ましておきましょう。
夕方に食べる直前にもう一度優しく温め直すだけで、長時間グツグツ煮込み続けたときよりもはるかに深く、お肉の芯までお出汁の旨味が染み渡ります。光熱費の節約にもなり、平日の夕飯準備が一気にラクになる魔法のテクニックです。
変わり種のお肉具材で楽しむ家族が喜ぶ新定番
鶏肉や豚肉の定番部位だけでなく、少し視点を変えた「変わり種」のお肉具材を取り入れると、おでんの楽しさは何倍にも広がります。下ごしらえの手間がほとんどかからず、スーパーで手軽に買えるおすすめの食材たちを厳選してご紹介しましょう。
| 具材名 | 特徴と魅力 | おすすめの下処理 | 子ども人気の高さ |
|---|---|---|---|
| ウインナーソーセージ | 燻製の香りとパリッとした皮、溢れる肉汁 | 皮に浅い切り込みを入れる | ★★★★★ |
| ロールキャベツ | 野菜の甘みとお肉の旨味が一体化する満足感 | 爪楊枝をパスタに替えて止める | ★★★★☆ |
| 冷凍肉団子(市販) | 下ごしらえ不要で放り込むだけの超時短食材 | 熱湯を回しかけて油抜きをする | ★★★★☆ |
| 水餃子・肉シュウマイ | つるんとした皮がスープを吸って極上の舌触り | 食べる直前に入れて煮崩れを防ぐ | ★★★★☆ |
ウインナーソーセージは子どもが大絶賛する旨味爆弾
大人向けのおでんに少し飽きてしまったお子さんが、真っ先に手を伸ばすのがウインナーソーセージです。パリッとした天然腸や皮が弾けた瞬間、スモーキーな燻製の香りと濃厚な肉汁が溢れ出し、和風出汁のお鍋の中に心地よいアクセントを作ってくれます。
ウインナーから滲み出る塩気とスパイスの風味は、実は和風の鰹出汁と非常に相性が良く、スープ全体のコクを一段深めてくれる隠し味としても機能します。
包丁で浅く斜めの切り込みを数本入れておくか、竹串に2〜3個刺して串刺しにしておくと、中までつゆが染み込みやすくなり、見た目もお祭り気分で盛り上がりますよ。
ロールキャベツはお出汁を吸ってとろける極上の調和
洋風のコンソメやトマトスープで煮込むことが多いロールキャベツですが、実はおでんの和風出汁でじっくり煮込んだものが一番美味しいのではないかと思うほど、完璧な相性を誇ります。
幾重にも巻かれたキャベツの葉が鰹と昆布の出汁をスポンジのように吸い込み、噛むたびにお出汁とひき肉の肉汁が口いっぱいに溢れ出します。
冷凍食品のロールキャベツを活用すれば、包む手間すら省けて大幅な時短になりますね。手作りする場合は、巻き終わりを留める爪楊枝の代わりに、乾燥した短めのスパゲティを刺しておくのがおすすめです。煮込んでいる間にパスタが水分を吸って柔らかくなり、そのまま丸ごと美味しく食べられます。
ロールキャベツを煮崩れさせないコツ
ロールキャベツをお鍋に入れる際は、具材と具材の隙間にキュッと挟み込むように配置しましょう。お鍋の中でプカプカ浮いて動いてしまうのを防ぐことで、葉っぱが剥がれず綺麗な形を最後までキープできます。
市販の冷凍肉団子を活用した超速仕込みテクニック
「今日は本当に時間がなくて、お肉を刻んだり丸めたりする余裕すらない!」という切羽詰まった日の強い味方が、市販の冷凍肉団子です。スープ用や鍋用として売られている加熱済みの肉団子なら、解凍すら不要で凍ったままお鍋に投入できます。
そのまま放り込んでも十分美味しいのですが、ザルに並べて上からケトルで沸かした熱湯をサッと回しかけておくと、表面についている酸化した油や霜が綺麗に落ちて、おでんつゆの透明感をしっかり守ることができます。短時間で味が染み込み、スプーンですくって手軽に食べられる優秀な助っ人です。
水餃子やシュウマイを投入して中華風のコクをプラス
少し冒険してみたい方におすすめなのが、チルドや冷凍の水餃子、そして大粒の肉シュウマイです。もちもちとした小麦粉の皮がおでんつゆをたっぷり吸い込み、中の餡からジューシーなお肉の旨味が溶け出して、今までにない新感覚の美味しさを楽しめます。
ただし、皮がデリケートなため、最初から長時間グツグツ煮込んでしまうと破れて中身が散らばってしまいます。大根や卵などの煮込みが終わったあと、食べる直前の5分から10分前にお鍋へそっと滑り込ませるのが、皮をつるんと美しく保つ最大の秘訣です。
お肉の旨味を最大限に引き出すおでんつゆの黄金比
お肉をたっぷり投入したおでんは、練り物や野菜だけのおでんに比べて旨味の総量が圧倒的に多くなります。だからこそ、ベースとなるおでんつゆの味付けは、普段よりも少し引き算を意識した上品な配合にするのが、最後まで飲み干したくなる美味しいつゆに仕上げるコツです。
出汁と調味料の配合比率で失敗しないベース作り
おでんつゆの黄金比率は、水(または出汁)に対して、みりん、薄口醤油、酒をバランスよく組み合わせることで決まります。お肉から豊かな旨味と脂のコクが自然と溶け出すため、化学調味料に頼らなくても、素材の力だけで驚くほど重厚なスープが完成します。
我が家の定番!澄んだおでんつゆの黄金比(4人分目安)
・水(昆布と鰹の合わせ出汁):1200ml
・薄口醤油:大さじ3
・みりん:大さじ3
・酒:大さじ3
・塩:小さじ1
※濃口醤油を使うとつゆが黒くなりやすいため、透き通った黄金色に仕上げたいときは薄口醤油を使うのが鉄則です。
昆布と鰹節の合わせ出汁にお肉のイノシン酸を掛け合わせる
料理の美味しさを科学的に決定づける要素の一つに「旨味の相乗効果」があります。昆布に含まれるグルタミン酸、鰹節に含まれるイノシン酸、そしてきのこ類に含まれるグアニル酸を組み合わせると、単体で味わったときの何倍もの強烈な旨味を感じることができます。
そこへさらに鶏肉や豚肉から溶け出す動物性のイノシン酸が重なり合うことで、舌の上で立体的な旨味のハーモニーが完成します。ベースのお出汁をしっかり引いておくことで、塩分を控えめにしても物足りなさを一切感じない、体に染み渡る極上のつゆに仕上がります。
脂っこさを中和して後味をさっぱりさせる薬味の活用
お肉をたっぷり入れたおでんは最高に贅沢ですが、食べ進めるうちにどうしても脂の重たさが気になってくることがありますよね。最後まで飽きずに美味しく楽しむためには、キリッとした清涼感を与えてくれる薬味を食卓にいくつか揃えておくのが賢い方法です。
定番の練りからしはもちろんのこと、爽やかな香りとピリッとした辛味が脂を洗い流してくれる柚子胡椒は、特に鶏肉や豚肉のおでんと相性抜群です。
すりおろした生姜や、細かく刻んだ青ネギを小皿にたっぷり添えておき、食べる直前にお肉の上へちょこんと乗せるだけで、まるで専門店の創作おでんのような洗練された味わいに変化します。
肉入りおでんを翌日まで美味しく安全に楽しむ保存術
お鍋いっぱいに作ったおでんは、翌朝や翌晩の食卓にも並べられるのが嬉しいところですよね。しかし、お肉を入れたおでんはタンパク質と水分が非常に豊富であるため、練り物中心のおでん以上に徹底した衛生管理と温度管理が求められます。
常温放置は厳禁!粗熱を取って速やかに冷蔵保存する
「冬場だから部屋の中も寒いし、お鍋のままコンロの上に一晩置いておいても大丈夫だろう」と油断してしまうのは非常に危険です。煮込み料理で特に注意が必要な食中毒菌は、熱に強い芽胞を形成し、40度から50度前後のぬるい温度帯で爆発的に増殖する性質を持っています。
食事が終わったら、お鍋をそのまま放置せず、清潔な保冷剤を鍋底に当てたり、シンクに張った氷水にお鍋を浸けたりして、できるだけ短時間で粗熱を取りましょう。十分に冷めたらしっかりと密閉容器に移すか、鍋ごと冷蔵庫へ入れて10度以下で保管するのが鉄則です。
肉入りおでんの保存で絶対に守るべき注意点
大きなお鍋のまま室温でゆっくり冷ますと、菌が最も繁殖しやすい危険な温度帯が長く続いてしまいます。小分け用の浅いタッパーに具材と煮汁を分けて移すと、冷えるスピードが格段に早くなり、安全性を大幅に高めることができます。
表面に固まった白いラードを取り除いてヘルシーに再生
冷蔵庫で一晩じっくり冷やした肉入りおでんを取り出すと、表面に白い脂の膜がびっしりと固まっているのを目にすることがあります。これはお肉から溶け出した豚脂や鶏脂が冷えて固まったものです。
この白い脂の塊をスプーンやお玉で優しくすくい取って取り除くだけで、余分なカロリーを大幅にカットできるだけでなく、温め直したときの脂っこさや嫌な胃もたれを劇的に防ぐことができます。驚くほど澄み切った、さっぱりとしたクリアなスープに生まれ変わる瞬間ですので、ぜひ忘れずに行ってくださいね。
◆ワンポイントアドバイス
固まった脂を取り除いたあとのつゆは、旨味のエキスだけがぎゅっと凝縮されています。温め直すときは必ず底からしっかりかき混ぜながら、中心温度が75度以上で1分以上しっかりと沸騰するまで全体に火を通してくださいね。
残った出汁とほぐし肉で作る絶品リメイクレシピ
具材をあらかた食べ終えたあとに残るおでんのつゆには、あらゆる食材のエキスが溶け込んでいます。これを捨ててしまうのは本当にもったいないですよね。翌日の朝ごはんやお昼ごはんには、この極上スープを余すところなく活用しましょう。
一番のおすすめは、柔らかくなったお肉を細かくほぐし、お米と一緒に炊飯器に入れて炊き上げる「おでん出汁の炊き込みご飯」です。お出汁の塩分と旨味だけで、まるでお店のような深みのある炊き込みご飯がボタン一つで完成します。
また、カレールーを少し溶かし入れて和風のカレーうどんに仕立てるのも、家族から歓声が上がる定番のリメイク術ですね。
おでんの肉(牛すじ以外)に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 鶏もも肉や豚バラ肉はおでん鍋にどのタイミングで投入すればいいですか?
A. 大根やこんにゃくなどの味の染みにくい具材と一緒に、調理の初期段階で投入するのがベストです。ただし、必ず熱湯でサッと湯通ししてアクと余分な脂を洗い流してから入れてください。極弱火で30分から40分ほどじっくり煮込み、一度火を止めて冷ますことで、お肉がパサつかずに中までしっとり味が染み込みます。
Q2. お肉を入れるとどうしてもおでんの煮汁が濁ってしまいます。どうすれば防げますか?
A. 濁りの主な原因は「生肉のまま投入すること」と「強火でグラグラ煮立ててしまうこと」の2点です。調理前に必ず熱湯をくぐらせる霜降りを行い、流水で汚れを落としてからお鍋に入れましょう。そして煮込み中は決して沸騰させず、表面がわずかに揺れる程度の極弱火をキープすることが、透き通った黄金色のつゆを保つ絶対条件です。
Q3. 豚こま肉やひき肉など安いお肉でも美味しく作れますか?
A. もちろん美味しく作れますよ。細切れ肉をそのままバラバラとお鍋に入れるとアクが出やすく食感も硬くなりがちですので、油揚げに詰めて「肉巾着」にするのが一番のおすすめです。ひき肉なら生姜やネギをたっぷり練り込んで鶏つくねや肉団子にすれば、ふんわり柔らかく仕上がり、お出汁にも素晴らしいコクを与えてくれます。
Q4. ウインナーを入れるとおでん全体が洋風の味になってしまいませんか?
A. 入れすぎなければ洋風に偏ることはありません。4人前のお鍋に対してウインナー4本から6本程度であれば、和風出汁の繊細な風味を壊すことなく、スモーキーなコクが隠し味として絶妙に調和します。気になる場合は、燻製の香りが控えめなノンスモークタイプのソーセージを選ぶと、より自然に和風つゆに馴染んでくれます。
牛すじ以外のお肉でおでんはもっと手軽にごちそうになる
おでんのお肉といえば牛すじという固定観念を一度手放してみると、おうちおでんの世界はもっと自由に、そして圧倒的に手軽で豊かなものへと広がっていきます。
手羽元や手羽先を使えば極上のコラーゲンスープが自然と引き出せますし、豚バラやスペアリブなら食べ盛りの家族も大喜びのメインディッシュに仕上がります。ロールキャベツや肉巾着、ウインナーといった身近な食材も、丁寧な下ごしらえと適切な火加減さえ意識すれば、お店顔負けのごちそう種として輝いてくれるのです。
何時間も鍋の番をして牛すじと格闘しなくても、スーパーで手に入るお気に入りのお肉をサッと湯通しし、弱火で優しく煮含めて冷ますだけ。忙しい平日の夜でも、お鍋の蓋を開けた瞬間に広がる豊かな湯気と家族の笑顔が、今日一日の疲れをじんわりと癒やしてくれるはずです。
今夜のおでん鍋には、あなたのご家族が一番喜ぶお肉をたっぷり詰め込んで、心も体も芯から温まる特別な団らんの時間を過ごしてみてくださいね。

